2019年02月

2019年02月28日

2019 Feb 27

Valuation Playとは?
過去何度か出てきた”valuation play”についてここで述べてみたい。

バフェットも長年保有している good old economy 銘柄の代表格のコカ・コーラ (KO)についてハクゴの視点から分析してみる。

結論としてはリターンの期待値が低すぎるのでバリュー投資には適していないと考える。

まずはそもそもバリュー投資には向いているのか?という観点から分析。

コカ・コーラは本当にバリュー投資に適しているのか?
コカ・コーラの過去のパフォーマンスからすると将来の期待できる長期の売上成長率は3%程度しかない。これは低い。もちろんもしコカ・コーラが今までと戦略を変えないのであればの話だが。

売上成長が3%程度なら利益成長はせいぜい5%-6%しか出ないだろう(これを「オペレーティングレバレッジ」という「ハクゴの銘柄選択術ーその③ 【リスク分析】」参照)。ファイナンシングレバレッジをガッツリかけても利益成長率は7%-8%程度が限界だろう。これははっきり言って低い。

もしコカ・コーラへの投資を選択するならそれはリスクが小さいというメリットがなければいけない。つまり期待値低いが確実に利益あげるなら投資する意味あるということだ。配当で稼ぐことになる。無リスク証券であるTreasuryと比較すると Treasury のリターンは2.7%なので世の中ではリスク無しで2.7%稼げるということである。リスクを取って5%-6%というレベルが合理的かどうかが投資家の判断となる。

ハクゴの見方では合理的とはいえない。

このように投資判断は「リスク勘案後」の相対的リターン期待値で決まってくるのだ。

再び「方法序説」
次に考えるべきことは株価バリュエーションだ。上の議論はコカ・コーラの本質的価値の将来の変化を議論したわけだが実際の株式投資の場合バリュエーションも併せて考えて分析する必要がある。なぜなら株価がめちゃめちゃ安ければ成長しない企業でも投資する意味があるかもしれないからだ。

ここでコカ・コーラへの時価での投資を方法序説で分析することになる。現在の株価$45で投資して仮に10年後のPERが20倍と仮定すると投資リターンの期待値はたったの3.7%となる。低いリターンの期待値の原因は現在の高い株価である。事実コカ・コーラのPERは30xであり割高であることがわかる。

ではコカ・コーラに投資する価値ないか?

コカ・コーラの場合つぶれる確率も小さいのでなんらかの理由でPERをはじめとする株価バリュエーションが十分安くなり、つまり投資リターンの期待値が例えば9%くらいまで上がった場合(これはざっくりPER 18倍、株価だと$27に相当する)PERが例えば20倍とかに戻ることに賭けるという戦略はあり得る。これで11%稼ぐ(20÷18)という戦略だ。

これが過去何度か出てきた”valuation play”だ。

これはバリュー投資とはちょっと別物である。

「競争優位性の高く長期で企業価値が市場平均よりも早く増加する企業に割安で投資し長期保有することで儲ける」のがバリュー投資だからだ。

コカ・コーラは上記の前提では長期での投資リターンの期待値は3.7%しかないので長期保有は合理的選択ではないと考える。もしPERが理由なく十分下がった場合に短期でPER valuationが上昇することに賭ける戦略つまり valuation play の方が合理的だと思う。

ハクゴは以前valuation playとバリュー投資の違いをよく理解しておらずグレートビジネスをとっとと売却してしまった例がいくつもあった。非常に苦いレッスンだ。コカ・コーラなどはバリュー投資には向いていないがvaluation playに非常に適した銘柄だと思う。

valuation playに適している企業とは1)まずつぶれない強い競争ポジション(ブランドなど)を持つ企業で、2)低成長で、3)低バリュエーションとなるだろう。

今話題のクラフト・ハインツなど「クラフト・ハインツが暴落!」で紹介したいくつかの食品銘柄も含まれるがハクゴの観点ではこの基準に合う企業は結構たくさんある。

たくさんwatch listに入れておいて「安すぎるなら買ってもよい。全く買わなくても全然OK」というゆるい気持ちで構えることが「メンタルトレーニング」上重要だ。



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(12:24)

2019年02月27日


クラフト続落
クラフトハインツ(KHC)バフェット率いるバークシャー・ハザウェイが26%保有する会社だが先週巨額減損計上後ズルズルと値を下げている。

このようなポジティブニュースのない嫌われた銘柄はしばらく下げるんだろうな。しかし営業の状態は特に変わらないのでいずれ割安になるだろう。

しかしこの株は2年前の1/3だ。これだけ下げるのもすごい。

しかし大底を狙うよりもやはり別の株で「つられ売り」された別の株を買う方が賢いと思う。他の銘柄はクラフト特定の問題はないのだから。

クラフトは今 SEC 入っているしどんな爆弾抱えているかわからない。

バークシャー・ハザウェイのパートナー3Gキャピタル
バークシャー・ハザウェイが共同で出資している3Gという会社はブラジルの投資会社だ。

ハクゴはこの3G社についての本 "Dream Big"という本を昔読んだことがある。

2019 Feb 26-1

この本は面白かったがなんでこんな簡単な戦略でトントン拍子にうまくいくのかいまいちしっくりこないものがあった。

投資銀行出身者3人で始めた会社だ。Jorge Paulo Lemann(写真真ん中の人)という人がトップだが3人とも人物としては素晴らしい。
基本はold economyを買収してコスト削減で企業価値を上げることを主戦略としている。

これって企業カルチャーをうまくマネジしないとそんな簡単じゃないような気がするんだよな。ゴリゴリコスト削減だと企業カルチャーが壊れる場合がある。

あと、共同で投資っているのは昔からちょっと疑問だった。

ちなみにこのLemannという人は南米一の大富豪でもとブラジル代表テニスプレーヤーだったらしい。ハクゴはオマハで会ったことがあるがスマートで笑顔のポジティブオーラ出してるさわやかおじさんだった。


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(11:59)

2019年02月26日

2019 Feb 26

チャンスなのか?
食品業界のクラフトハインツが大幅減損計上。2018年第四四半期に暖簾の大幅減損を計上したクラフトハインツ。これに釣られて他の食品銘柄が弱含んでおり「クラフト・ハインツが暴落!」で述べたように買いのチャンスが作られる可能性がある。

減損が出たということは買収当初の想定通り利益(あるいはキャッシュフロー)が生み出せていないということが会計的に認められたということだがこのように業績が安定した業界では減損で大損出てもファンダメンタル自体は急激に変化したわけでは決してない。単に買収時の(強気すぎた)想定が成り立たないと確認されたに過ぎない。

しかしPERなどのバリュエーション(市場の企業業績に対する評価)は過敏に反応し急落する。インパクトが大きいほど投資家心理で投げ売りとなり下にオーバーシュート(売られ過ぎ)が起こる可能性は高く正にこれが新たな投資家にとってはチャンスとなるわけだ。

このような事件は「不人気業界」心理を醸成することがある。つまり「食品はダメだ」という心理が投資家を支配すれば割安チャンスが生まれるというわけだ。ちなみに奇しくもバフェットの師であるベンジャミン・グレアムによると割安銘柄が発生する場合として「一時的な業績不振」と「単なる不人気」を上げているが今回の食品業界については「単なる不人気」がまさに当てはまる。

過去のパターンからしてこの不人気業界心理が市場を支配するトレンドはダラダラと長く続く。したがってすぐパクっと食いつかずじっくりと待ち構えるのがお薦め戦略だ。

自分もじっくりと待ちながら安すぎると判断すれば投資を考えたい

ちなみにこれはバリュー投資ではなく "valuation play" と呼ばれるもので単にバリュエーションが元のレベルに戻ることに賭ける戦略だ。「クラフト・ハインツが暴落!で述べたように食品業界はバリュー投資には向いていない銘柄が多いとハクゴは考えている。なぜなら成長力が弱いからだ。これは一見用語が矛盾しているように感じるかもしれないがバリュー投資とは決して成長しない企業に賭けるものではないのだ。


バリュー投資とは競争力があり長期で価値が上がる割とリスクの低い企業へリスク勘案後、割安な株価で投資するものであり、リスク勘案後の高い成長がネガティブなわけはないからだ。

具体的な銘柄は?
食品(brand)
業界の銘柄群として例えばチョコレートのハーシーズ (HSY), スパイスのマコーミック(MKC), スープのキャンベル(CPB), ケロッグ (K)など思いつく。もちろんKHCもある。

例えばハーシーズなどで考えてみると過去のPERの歴史を見る最低レベルの 17倍あたりが良いターゲットレベルだろう。ということは今の株価からざっくり2割安のレベルとなり株価だとHSYなら$80台か。

ここで投資家がとるべき行動は当然前回紹介したメンタルトレーニングである。決して「$80まで下がれ~」という前のめりの気持ちを出してはいけない。これは欲してしまうと「自分はお目当ての株が速攻で下がらないと儲けられない人」という自己対話を自分の潜在意識としてしまうからである。この場合心の持ち方はあくまで「あまり興味ないけど$80以下まで下がったら買ってやってもいいよ」くらいのゆるい気持ちで「向こうから良いボールが投げられたらバットを振る」という心理姿勢が重要となる。


クラフトハインツのような事例を利用してメンタルを鍛えることこそが一般人投資家が日々やるべきことである。つまり「どうtake chanceするか?」という問いに対してはメンタルトレーニングの絶好のチャンス」というのが答えとなる。

「メンタルはわかるけど実際買わないと意味ないじゃん?」

という意見もありそうだがメンタルを伴わない売買行動をいくら繰り返しても一般人投資家のコンフォートゾーンから脱却することはできないため仮に今回儲かっても次にはまた高く買い、焦って買い、安く売り、焦って売るということを繰り返すことになるだろう。つまり一般人投資家のまま。

メンタルを鍛えることとお金を儲けることは因果関係にはなく同時一体なのだ。これを理解できるかどうかが投資家としての成長のカギだと確信している。


つまり正しいメンタルを持っている時点で儲かる確率が十分高い状態に立っているといえる。


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(21:47)

2019年02月25日


先週「クラフト・ハインツが暴落!」でも紹介したがバフェットはクラフトハインツに投資している。今朝TVインタビューでこの投資について "misjudge"だったと言っていた。

クラフト・ハインツ (KHC) は先週2018年決算でグッドウィル(暖簾)の減損により一日で27%暴落したのだ。

 「"retailer"(ウォルマートなどの小売り業)と"brand"(ハインツなどのメーカー)の戦いで現在はretailerが有利な状況にありそのためハインツも苦戦している」と。

あっさりと過ちを認めるのはバフェットらしいな。

そうだとすると"brand"への投資は根本的な問題とも思えるがどうするんだろう。。。 しばらくクラフトハインツはバークシャー・ハサウェイ関係で話題になると思うのでフォローしよう。続報があると思います。

ただ株価が暴落していることについては全く動じていないとのことだ。それは前回「株主からの手紙」言ったように営業利益では全く順調だからだ。

クラフトについては買収価格が高過ぎたとovervalue買いを認めていたところも印象的だった。がハインツについてはovervalueでは買っていないとも言っていた。


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(23:05)
2019 Feb 24

「バフェットからの手紙」 2018年度版
毎年2月に発表される「バフェットからの手紙」

"Warren Buffett's Letters to Berkshire Shareholders"

ハクゴは毎年読んでいるが今年は昨日リリースされたのでハイライトをご紹介。このレターは投資の知恵が集約されていてバリュー投資を学びたい人は是非読むことをお勧めします。

バークシャーの価値に対するバフェット見解に変化が!
ウォーレン・バフェットの会社バークシャーハサウェイの企業価値はいくらなのだろうか?

この質問に対してバフェットはこれまで過去ずっと簿価 (Book value)がバークシャー・ハザウェイの本質的価値の近似値を表すと言ってきたのだが今年は見方に変化があった。これはかつてないことだ。

簿価ではなく株価が "intrinsic value" 本質的価値をよりよく表すとのこと。

なぜ見方が変わったのだろうか?

この手紙によるとそれは以下の3つの理由による。

1.(株式投資ポートフォリオではなく)オペレーティングユニットがバークシャーの価値の大部分を占めるようになってきたこと。このオペレーティングユニットとは株式投資以外の部分のことでBerkshire Hathaway Energyとか保険事業のことだ。

2.二つ目は今の会計制度ではオペレーティングカンパニーの簿価をバークシャーの簿価計算に算入するルールだが実際のオペレーティングカンパニーの価値は簿価よりもずっと高いとバフェットは考えている。つまりバークシャーの価値は過少に評価されていると。つまり簿価は本質的価値をより低いと言っている。

3.最後のポイントは将来の自社株買いは巨額なものになりそれにより簿価は小さくなるが自社株買いは簿価以上、本質的価値以下で行われる。これにより自社株買いをするたびに一株当たりの本質価値は増加するが一株当たりの簿価は下がるため簿価がますます本質的価値から乖離するというわけだ。

バフェットが頻繁に使う言葉 "Economic reality"
バフェットはバークシャーの”economic reality”を常に考えている。何がバークシャーのeconomic reality(経済実態)を表すのか?簿価かそれとも株価か?

バフェットは投資家であり投資対象の価値を思考し算定するわけだが自分自身の会社の"Economic reality" 経済実態が何かを思考することに多くの時間を費やしている

「経済実態」とは非常に多次元の概念だと思う。経営状況、商品状況、競合との相対的競争ポジション、などなど。さらには経営者や従業員の士気など抽象的概念も「経済実態」の一部だろう。

企業価値、本質的価値、株価という一つの数値はその多次元実態の数値的な表れである。

そして自社の本質的企業価値を知ることは投資家として極めて重要なことだとハクゴは考える。なぜならポートフォリオカンパニーが生み出す利益を何に投資すべきか?つまりキャピタルアロケーションこそが投資家の仕事の本丸であるわけだが(キャピタルアロケーションについては「高配当株は良い投資なのか?」をご参照)そのキャピタルアロケーション(利益の使い道)の選択肢の一つに「自社株買い」がある。

自社株買いが他の選択肢、つまり買収や配当と比較してbetter optionであると結論するためには自社バークシャーの本質的価値がいくらかをわかっていなければいけない。この理由でバフェットはバークシャーのeconomic realityというものを常に考えている。

Economic realityは過去の”Letter to shareholders”でも毎年議論される。これを増加させることがビジネスやってる目的だから当然だ。過去においてはバークシャーの本質的価値は簿価の1.2倍くらいと考えていたがこの意見を今年変えた。時価(株価)の方がバークシャーのeconomic realityをbetter representするということだ。

GAAPは真実を正しく表していない
バフェットはGAAP会計 (Generally Accepted Accounting Principles 米国会計基準)のルールではバークシャーの経済実体を表せていないと言っている。

GAAPが要求する保有株式の評価損益の計上によりバークシャーの当期利益は四半期ごとにボラタイルに変化する。特に株式市場が大きく荒れた2018年第四四半期など顕著だった。一方でバークシャーのポートフォリオカンパニーの”operating earnings”(営業利益)は長期に渡り一貫して安定して成長していた。なのでGAAP基準の会計利益は実体を表していないというわけだ。

このようにバフェットは会計基準に頼らずバークシャーの本質的価値を常に独立して考え手持ち現金の行き先を決めているのだ。

では当期利益が経済実態を表さないなら何を見ればよいのか?

バフェットのアドバイスは「営業利益にフォーカスすべし」ということだ。手紙の中で以下のように言っている。

“Our advice? Focus on operating earnings, paying little attention to gains or losses of any variety”

もちろんこの考え方は我々にも大いに参考になる。ウォールストリートのアナリストたちは当期利益をベースにした一株利益 (EPS) の変化で一喜一憂するわけだがEPSは毎四半期大きく変化する。しかし企業の本質的価値の実態というものはそれほどボラタイルには変化していないのだろう。特にバークシャー保有の安定したビジネスについては特にそうだと思う。

このようにGAAPなどのルールは一般的に最大公約数に当てはまるように作られているので自分の投資の対象が安定した競争力のある企業だけを対象にしている場合一般ルールが自分にとってベストのルールにならないことは大いにあり得るためカスタマイズして考えることが真実を捉えるうえで重要だ。


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(12:14)

2019年02月24日

2019 Feb 23
   
バークシャー・ハザウェイも投資している食品銘柄のクラフト・ハインツ (KHC) が2018年決算でグッドウィル(暖簾)の減損により一日で27%暴落!

これらの食品メーカーは始めは独自のブランドを育てて成長するがいずれ頭打ちになり成長できなくなる。成長プレッシャーから他ブランドを買収するということを繰り返す。買収のたびにgoodwillが貯まっていきあるとき価値毀損するというパターンだ。

Goodwill(暖簾)の大きい企業は注意
Goodwillはfair valueよりも高く買収することで発生するが買収の意思決定というのは一人の投資家なら早いが企業が企業を買収する場合通常数か月はかかる。買収とは必ずその過程に売り手との交渉がある。買収価格が高すぎるとどんなに良い企業であっても買ったら瞬間価値が毀損する。なぜなら100円玉を110円で買っているようなものだからだ。企業会計ではこの時10円の損を認識せず暖簾 (Goodwill)という形で資産計上される。なぜこんなことが許されるかというとシナジー効果やコスト削減で自分なら100円玉の価値を110円に高められると仮定しているからだ。

なぜGoodwillが出るほどの高い値段での買収が成立するのか?
買収交渉において買い手は少しでも安くそして交渉である以上買うその瞬間まで(契約書(Stock Purchase Agreement)にサインするその瞬間まで)「やっぱり買わないと言える選択肢 (walk away option)」を持っているのだ。しかし企業が企業を買収する場合通常売り手は複数の買い手を競わせる。そっちのほうがより高く売れる可能性が高いからだ。

一方、買い手企業では準備期間の数か月の間に「買わなきゃ」という社内政治・心理がかならず醸成される。多くの場合大型買収はその担当者の成果となり時にボーナスの対象となるためだ。そして本来は買うギリギリの瞬間まで買うかどうかはわからないはずなのに往々にして実際サインする時には買いへのバイアスが非常に強くなってしまうのが現実だ。これは時間を費やすほどその時間を人は投資と考えてしまいwalk awayしたくなくなるという心理が働くためだ。「せっかくここまで頑張ったんだ。手ぶらで帰りたくない」という心理だ。

こんな心理トラップは特別な知識でもなんでもなく昔からわかっていること。特に80年代のLBOブームの時に散々懲りておりビジネススクールでは使い古されたケーススタディテーマだし実例のスタディなどもちろんどこでも手に入る。だが人間というのは学ばないものなのだ。

結果往々にして買収は高値で買わされることが多い。つまり高いgoodwillの計上が起こる。そして数年後メッキがはがれ減損となる。これを経済学では “Winners curse”と呼んだりする。オークションの勝者と思いきや実は高値掴みで敗者になってしまうということだ(つまり後になって考えるとあんな高値で買わなきゃよかったとなる)。

ついでにシナジーというのは社内の「その案件の買収推進派」の推薦理由に使われるものに過ぎずたいていは幻想に終わる。

まあ、とにかく企業の買収は個人の株式投資と似ていて追っかけ買いをやるとうまくいきませんよということだ。事実買収の7割は失敗すると言われている。

チャンス到来か
ここで注目は同業他社の株もつられて軒並み下がっていることだ。特に

CPB, SJM, CAG, K, UNA

などの銘柄。

これば投資家にとってはチャンスで釣られ売りの時に下にovershootすれば買い場となるわけだ。ハインツの今回の問題がハインツ固有のものであれば同業他社が売られる理由はないからだ。

“valuation play”
しかしながらこのような食品銘柄はグレートビジネスではない場合が多い。つまりブランド価値の高い商品を保有しているが成長率が弱く長期で株主価値は下がらないもののそんなに上がらない。市場平均より成長スピードが遅い。このような銘柄はバリュー投資には適していないが”valuation play”に最適な銘柄である。

”valuation play”とはvaluation (PER)がたまたま安くなった時に事業価値は上がらないがPERだけは正常値に戻ることに賭ける投資方法だ。成長率が低くバリュー投資には向いていないががつぶれるリスクが少ない銘柄で有効な手段だ。これは主に短期投資で使われる点もバリュー投資と異なる。Valuation playについては他にも適した銘柄があるのでまた別の機会に説明したい。


伯Goが狙っているのは特にケロッグ(K). これも多額のGoodwillを抱えているためリスクが大きい。がそのリスクを差し引いたうえで株価が下にovershootした時が買いとなるわけで今のバリュエーションレベルは伯Goにはかなり魅力あるレベルに近づいて来ているように見える。



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(04:58)