2019年06月

2019年06月30日

2019 June 29

2019年前半のS&P500の成績は?
S&P500の 1st half成長率は17.3% だった。これは非常に強い数字だ。

2018年は年末にかけて暴落したのでS&P500は-6.2%と弱く2019年は低いところから始まったのも一因なので過去2年間で見てみると年率平均10.2%成長となる。

これは過去の平均より若干高い成長率だ。

2019年6月7日「今は「上振れ」時代 - 平均的な年は少ない」で述べたように「平均」にとどまる年は少ないことを考えると2019年はもっと上がるのかも?

業界別の内訳を見てみよう(SPDR の業界別のETF)

2019年半期の成長率
テクノロジー25.9%
一般消費財20.4%
資本財20.2%
通信19.2%
不動産18.6%
素材15.8%
生活必需品14.4%
金融14.2%
公益事業12.7%
エネルギー11.1%
ヘルスケア7.1%
S&P500 全体17.3%

と、テクノロジー非常に強い。

ちなみに伯Goの成績は21.1%でした。今年は今のところSP500を上回っている。

過去9.5年間の通算では 伯Go 10.1% vs. S&P500 10.6% なのでまだ若干負けている。

S&P500非常に手強い。長期では S&P500にオールインが解というのは身に染みてよく理解できる。 S&P500を上回るのは難しいのだ。

なのでS&P500を買い続ける戦略が基本一番賢いだろう。そして10年~15年に一度来る暴落でいつもより多めに買えればもう超すごい。

プロ運用者の7割が長期ではS&P500を超えることができないという事実を考える10年~15年に一度来る暴落でいつもより多めに買えればプロ運用者の中でもトップ集団に入れると思う。

伯Goは今年後半は保有株を少しずつ売って現金を増やしていきたい。現在の現金比率は11%だ。

売る順番は以下の通りで考えている。

1)バリュエーションが高い企業
2)競争優位性が比較的弱い企業
3)シクリカルな企業

多少の機会損失は出るだろうがそれは想定した上だ。

さあ後半はどうなるか??


ハクゴ録
「S&P500を買い続けるのが基本賢い。暴落時に買い増しできればそうとう賢い。」


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(08:39)

2019年06月28日

2019 June 27

景気の分岐点にバリュー投資の出発点に戻る
景気がいつ角に差し掛かるかは読めない。

しかし景気サイクルを振り子に例えると今は上昇の最期の45°のどこかにいるのは確かだ。
このタイミングでバリュー投資を改めて振り返っておこう。

バリュー投資というゲーム
投資したい企業がある。その会社の価値はいくらだろうか?
バリュー投資はこの問いから始まる。投資とは企業の成長に賭けるもの。

今は景気サイクルのどこにいるのか?これを当てるゲームに解はあるのか?このゲームはバリュー投資ではない。この違いをしっかり知る。

景気サイクル。いつ景気の方向が変わるのか?これは誰にもわからない。これさえわかれば暴落前に売り、ボトムで買えば儲かる。でもこれを当てるのは難しい。まず無理だ。

では景気サイクルのどこにいるかがわからなくても儲かる方法はあるのか?

「わかること」を頼りに戦略を立てる
景気サイクルのタイミングはわからなくてもわかるものもある。

一部の企業の価値はわりと正確に推定できる。企業の価値を推定できれば儲ける方法はある。それがバリュー投資だ。

景気に影響されないビジネス(例えば食品とか景気に関係なく毎日必ず消費するものとか)の価値は推定しやすくこのバリュー投資というゲームに適していると言える。

景気サイクルは当てられなくても景気が落ち込んで株価が推定した企業価値より安くなった時に買う。これをバリュー投資では利用する。

道を外れる危険
言うは易しだが一つのチャレンジはバリュー投資をやってるのに途中で上述の「景気サイクル当てゲーム」をやりたくなってしまうことだ。

理由はバリュー投資だとじれったく「もっと手取り早く儲けたい」と思うようになり「タイミング当てゲーム」に手を出してしまう。

これをコントロールすることはバリュー投資で成功する一つのカギだと思う。つまり下手なことに手を出さないというのが長期で勝つ秘訣なのだ。

タイミングを当てることを目的に買い売り行動に出ると失敗しやすいと言うことを覚えておいたほうが良い。

買い売りの行動はあくまで企業分析をベースに長期の競争優位性が高い企業だけを対象とし、株価が企業価値を下回った時が買いなのだ。景気サイクルが上向く「気がする」から買いではないのだ。

その後株価がさらに下がろうがそれによって感情が動かされてはならない。グレートビジネスを本質的価値より安く買えていればそれでもう成功なのだ。あとはグレートビジネスの価値は勝手に上昇していく。

バリュー投資では感情に基づいて行動してはならない。バリュー投資家は分析の結果で行動する。

これが難しい。だから日々メンタルを鍛える。


伯Go録
「バリュー投資は感情に動かされて行動しないこと。分析の結果で行動する」


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(10:52)

2019年06月27日

2019 June 26

Paychex下落!
伯Goのグレートビジネスである Paychex (PAYX) が今日4Q決算発表があり(5月決算)で株価が3.6%も下落した。

Paychexは中小企業向けに給与支払いサービス、人事、保険サービスを提供。競合はADPなどだ。

この企業は過去長期に渡り堅実な売上成長率(7%-8%)を維持している。

企業の給与支払いサービスなどは一旦業者を決めるとなかなか乗り換えづらいので確実な収益が見込める。粗利70%, 最近まで無借金だった優良財務。

今回決算内容は EPS予想$0.65に対し$0.63と予想を下回ったため株価下落。売上は$980mと予想比 +0.26%とほぼほぼin line .

実はこの銘柄は自分の保有株の中でオーバーバリュー度が最も高く売るべきかどうか悩んでいた。

伯Goのバリュエーション方法序説」でも紹介したが伯Goはバリュエーションを「長期の投資リターンの期待値で計っている。伯Goの試算によるとPAYXの長期の投資リターンの期待値は3.2%で非常に低い。つまり今の株価では買えない=売りなのだがグレートビジネスを売るという場合はどういう場合なのか

グレートビジネスは長期保有なのでは?と長く考えていた。売ってもしさらに上がったら大バカ野郎だし売らずに下がったら悔しいし。。

結局は「売りのタイミングを当てるゲーム」は基本負ける確率が高いと結論した。

バリュエーションがありえないくらい高い場合か競争優位性が失われた場合のみ売りだ

期待リターン3.2%はまだ低すぎない。これが米国債長期金利(リスクフリー)下回るようだったらそんなのありえないので売りを検討しようと思う。

つまりリスク無しで今2.1%(現在の米国債利回り)稼げるのに株というリスキーな資産のリターンがそれ以下、例えば1.9%とかになった場合は明らかにおかしいのでそんな時はグレートビジネスでも売りとなる。

リスク取っているのにリスク無しのリターンより低いというのはありえないからだ。なのでもうちょい株価上がらない限り特に何もしないのが賢明と判断した。

もし下がった場合はまた買えば良い。

売上・利益ともに伯
Goのバリュエーションの前提成長率よりも4Q実績は高かったため競争優位性は失われていないと判断した。

じゃあリスクは?
この企業の最大のリスクは雇用の悪化だ。もしこれが実際起こった場合にはPAYXの利益は確実に下がる。そうなると企業価値も株価も確実に下がる。ここがこの企業の弱い部分と言える。

伯Go録
「グレートビジネスは売らないほうが賢明」


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(10:11)

2019年06月26日

2019 June 25

前回の続きで知覚の因果律という概念は重要という話
前回紹介した「知覚の因果律」とは哲学の「存在論」(ontology) の概念だ。18世紀の思想家 ヒュームが考えた。

例えばここにリンゴがあるとしよう。このリンゴを人間が認識できるのはリンゴが存在するからだ。

つまり「リンゴが存在する → だからリンゴを知覚できる」ということだ。

存在が知覚できる原因となっている。これを知覚の因果律という。これは一見当たり前に聞こえる。だが正しいかどうかは実はわからない。

なぜなら「存在する」ということ自体を知覚せずにどうやって確認できるのか?という問題があるからだ。

これは重大な問を投げかけている。

「何事も存在するから知覚できる」が真とは言い切れないことになるからだ。

FEDの話 -権威
ここでFEDの話しに戻るとFEDという存在はどのような存在だろうか?中央銀行であり議長がいて政策を決定して、政策金利決めるauthorityがあって、、

中央銀行の本質は権威だ。人々が権威を信じることで初めて力を持つ。人々は自分の労働やクリエイティビティなどで生み出した商品・経済的価値を通貨と交換することに同意している。つまり対価として通貨を受け取る。労働の対価にコメもらっても良いわけだが実際はそれを選択せず交換価値もつ通貨を選択する。

物理的通貨、或いは契約としての通貨自体には何の価値もない。物理的には紙に過ぎないし契約は単なる言葉の集合体だ。

それなのに次第に実物の食料や家などよりも通貨により重い価値が置くようになる。それも中央銀行が発行した通貨を。

そのへんの誰かが勝手に作った子供銀行通貨を人々が受け取らないのはその子供銀行通貨の権威を信じないだけの違いだ。

中央銀行という権威を人々は信じているわけだがほとんどの人は中央銀行なんて見たことない。他の人のストーリーを信じているのだ。

自分自身も見たことないのに信じている。つまり権威とは被支配者が信じているから存在するのだ。

「モノは存在するから知覚できる」わけではないというは物理の世界での話だが同じように社会でも「権威が存在するから知覚できる」のではない。

人が信じるから権威は存在するのだ。つまり知覚の因果律は逆だという命題が物理でも政治でもある。これは存在の因果論だが物理学者は物理因果を扱い、扱う対象は存在するモノなので存在の因果論を無視できない。

FEDの話に戻るとFEDの正体とは権威であり権威とは「フェイスブックが仮想通貨!」で出てきた”imagined reality” の一種なのだ。つまり人が信じることで初めて存在が生まれているわけで人々の行動を政策発表というアナウンスメントで動かす(nudgeする)のがFEDの重要な仕事なのでそもそも権威の正体がわかっていないとFEDは大衆をうまく操れない。そして権威とは人の心の中に作られる存在なのだ。

FEDは大衆を操る
ハクゴが考えるFED chairman に求める資質とは以下のような事柄への深い理解だ。

- 人が何かを信じる心理の仕組み
- 人々が恐怖と欲望にドライブされて理性的行動を取らなくなる転換点
- 革命や銀行取り付け騒ぎはどう起きるのか?(imagined realityが崩壊する仕組み)

などであり市場メカニズムの理解とか法律上の権利義務関係とかは表層的なテクニカリティなのでそのような表層的現象の元になる心理現象の理解が大切と思う。

「予防的利下げ」
FEDのこの言葉を聞いてはじめはなんだそりゃ?と思ったが本日FED meeting で「利下げ示唆せず」で株価下落した!これは right decisionだと思う。頑張れパウエル議長!


ハクゴ録
「FEDの仕事は深い」


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(08:27)

2019年06月24日

2019 June 23

Leon Cooperman氏
元ゴールドマンサックスパートナーで現在オメガアドバイザーCEOの Leon Cooperman氏がFED連銀の動きと現在の市場について意見を述べていたので紹介しよう。

「現在の株価は fair value の範囲内であるがここからさらに上昇する場合には “euphoria “ の入り口かもしれない」

この “euphoria “ という言葉は投資の世界で良く出てくる。投資界の賢人 John Templeton の言葉から来ている。

“Bull markets are born on passimism, grown on skepticism, mature on optimism and die on euphoria “

「ブル相場は悲観の中で生まれ、懐疑心の中で育ち、楽観主義の中で成熟し、陶酔の中で終わる」

つまり Euphoriaが見られたらそれはブル相場終わりの始まりなのだ。

そして Cooperman氏は euphoria 状態にもし入った場合にはエクスポージャーを減らし行くが今はまだその状態にはないとも言っていた。。

FEDの動きについて
また株価が最高値の状態で利下げを示唆するFEDについて彼は

“FED has been too easy and monetary policy is inappropriate “

と言っていたがハクゴは全く同意である。

「予防的な利下げ」らしいが単に市場や政権のプレッシャーに負けているんじゃないか?

ってかそう思われた時点でFED終わってるとハクゴは思う。中央銀行自体もともと前回紹介した概念である “imagined reality “な存在なのだから「FEDは大丈夫だろうか?」と思われたらそれがreality になってしまう。この点は「知覚の因果律」という概念だ知覚の因果律については次回あたりに説明したい。”causal theory of perception” という。

バブルというのは毎回姿を変えて現われるもの。

だから知らないうちに育ってしまうのだ。

FED発のバブルにならないと良いがその可能性はある。短期金利こそがバブルを誘発する一番単純な要因だからだ。

ハクゴ録
「FED(パウエル)大丈夫か?」


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(00:08)

2019年06月21日

2019 June 20

フェイスブックの「リブラ」
フェイスブックが仮想通貨を出すと発表。ハクゴが思ったのはこのタイミングでフェイスブックが仮想通貨を出してきたのは必然なのかということ。

政府債務問題と仮想通貨
現在の世界経済の大きな問題の一つは異常な政府債務の額だと思う。アメリカも結構ヤバいが日本の国家債務はもっとヤバい。

他の先進国の中央銀行でも大量の国債を買っており政府が膨大な借金を抱えている一方で金利が低いと言う矛盾がある。 例えばスペインやイタリアといった経済が弱く信用が低い国の金利が非常に低いというのは大きな矛盾だ。

信用が低いにもかかわらず金利が安いと言うのはおかしくないか?金利はリスクの対価なのでは?

この矛盾は国債の買い手が将来損するという形で実現するが実際には 国債発行者→ 国債保有者へのデフォルトという直接的な現象ではなく別の誰かが間接的に破綻するという形で起こると考えられる。

国債以外の債券(主に社債)の利率は国債利回り + スプレッド で決まるのだが基準となる国債利回りが低いので社債利回りも安くなってしまっているのだ。もちろんスプレッドに発行企業のリスクが反映されるハズだが実際にはカネ余りで需給バランスが崩れているため利回りが低めに出来上がる。要はバブルだ。

これは市場メカニズムの中では社債デフォルトという形でミスプライスが正される。それが銀行への取り付け騒ぎという形になるとヤバイことになる。

或いはインフレによって国家財政負担が実質下がることももう一つの correction 方法だ。

この債務量いったいどうなっちゃうのか?と思っていたところでフェイスブックの仮想通貨が出てきたのだが仮想通貨はこの矛盾を埋める可能性がある。

政府債務は税金で借金を返す必要がある。払えなくなると最悪「財産税」のようなアイディアが出てきたりする。マルクスがいればもっと最悪なプロレタリアートの革命オプションが出てくるだろうが今ではありえない。

今はそのかわりにトマ・ピケティなどが言っている財産税などの話になってくる。インフレは借金抱えた政府部門には朗報なのだが賃金低いプライベート部門には痛いためピケティ方向に世論が動くだろう。

アメリカでも失業率最低でも左派の勢い強いので景気が傾き始めたら社会的な力になるだろう。

仮想通貨と税金
仮想通貨には徴税権は及ぶのだろうか?及ばないとしたら税金逃れの道具に使われるだろう。

そうすると追加需要が生まれる。その場合は仮想通貨と法定通貨の為替が変化するはず、つまり仮想通貨需要の高まりを交換比率に反映するべきなのだがリブラでは為替変動しないとなっている “stable coin” と言っているがこれは幻想である。価値が一定の資産などないからだ。

インターネット上のモノの売買を通じてリブラ価値を上げることができる。つまりリブラを欲しいのでたくさんのモノをあげればいいのだ。

銀行の信用創造
信用創造は現在、銀行+中央銀行によって乱用されていると思う。これについては2018年6月2日「リセッションは来るのか?経済サイクルと銀行」でも述べているので興味あればご参照。

これが人々に害を与えた時、破壊的な変化が起こる。つまり銀行取り付け騒ぎだ。

信用創造とは一種の「幻想」でバブルみたいなものだ。

人間社会にはこうした幻想がたくさんある。ブランドや国家もそうだし権威もその例だ。通貨だってその一例だ。

人間が生み出す幻想
歴史学者の Yuval Noah Harariはこの幻想を "Imagined reality"と呼んだ。マルクスは通貨についてこれを「物神崇拝」と呼びお金自体を幻想と考えた。

このような imagined realityが乱用され人々に害を及ぼし始めると破壊的反発が起こる。マルクスの理論の場合だとこれが革命となる。

通貨の権威失墜は序の口で国家という imagined reality 自体も疑問視されるようになるかもしれない。ネット上で総意で別の国家作っちゃえばいいじゃんということも可能だがまあそうなるためには国家が相当国民にひどいことする過程があるだろうがそこまではならないだろう。

でも「国家」という概念は歴史を通じてずっとあったわけではもちろんないので別の形に変わる可能性はあると思う。リブラは通貨が imagined reality であることを改めて認識させてくれることになると思う。


ハクゴ録
「世の中けっこう幻想でできている」


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(10:25)