2021年09月

2021年09月29日

2019 Sep 27

ファクトセットの業績発表
米国株式市場が帆実大きく下げる中、ハクゴの主要保有株のファクトセット(ティッカー FDS) の決算発表があった。
当社は8月決算なのでQ4決算となる。

FDSはファイナンシャルデータの提供、分析を提供する会社で Bloomberg などが競合だ。

Q4 売上は $412mと前年同期比 +7.4%増。EPSは $2.88で不変。予想よりも高かったため株価は市場全体が下がる中で3.8%も上げた。

ハクゴの分析では長期の持続可能売上成長率は7.5%-9.0%程度とみている。今回売上成長率は低いが多少の凸凹はあるものだ。

四半期の業績は上がったり下がったりするものだ。四半期業績では競争ポジションに変化があるかどうかを考える。数字は凸凹あるので下がったら即ダメというわけでもない。四半期業績で出てくる情報だけで競争ポジションの変化を判断できないことがほとんどだがそれでも考えるべきことは競争ポジションの変化だ。

わからなくてもいい。出てきた情報を元に考えることが大切。逆にこの一番大切なこと以外はそんなに考えなくても良いと思う。

セグメント別ではコンテンツの開発 のCTS (Content and Technology Solution) が+15.8%と一番伸びた。FDSは以前からこのセグメントに多く投資していてその結果が売上増に表れている。
伸びる分野にリソースを投入できていると考えられる。

現在の売上はサブスクベースの売上がほとんどであるため COVID-19でも影響は小さかった。シクリカリティは少ない。

今のところ順調に成長していると見られ問題ない。
投資方針に変化はなく引き続き継続保有。


 ハクゴ録「四半期では出た情報を元に競争ポジションを考える

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(07:31)

2021年09月26日

2019 Mar 15

業績が発表されると株価が動く、この時投資家は何を分析しているのか?
株価というものは企業業績の予想を織り込んでいる。
なので株価を読もうとしている人たちというのは企業業績予想の期待値(コンセンサス)を分析していると言える。
つまり他の人、市場の太宗が「株価はこうなるだろう」という値を分析している。

この分析対象は企業ではない。他人の思考・心理を分析している

つまり
「これくらいの業績結果が出たならば企業分析をしているプロの人たちつまりアナリストはこう株価を予測するはずだ。その結果投資家はこう動き、結果株価はXXだろう」ということを分析している。

これ意味あるのか?

この分析はアナリストの分析が信用できるということを前提にしているがそれって正しいのか?
正しいならアナリストの推奨通りに買えば上手く行くということ?
もしほんとうに業績を予測できるアナリストがいればその人はアナリストとして給料もらう生活なんかせずに自分でヘッジファンドとかやるはずでは?
もちろんアナリストは未来が読めるわけでもなんでもなく単にレポートという商品が売れるから書いているのに過ぎない。

人がどう考えるかを予想できれば儲けることはできる。
しかしそのスキルってある種特殊なスキルだと思う。人の心理を読むスキルに近い。企業分析スキルではない。

業績発表を見て売り買いしている投資家はアナリストがどう考えどう結論を出すかその思考過程を熟知しているのだろうか?或いはその結果機関投資家などがどう動くかを熟知しているのか?

決算が出るたびにアナリスト予想との乖離に市場が反応するということはアナリストの思考が正しいという前提とその乖離部分(positive/negative surprse) を決算発表で調整しているわけだ。
アナリストの思考が正しいと言うのは将来 FCFのproxyとしての 予想EPSと割引率が正しいということを前提にした行動だ。

仮にEPS実績値、アウトルックなどすべての計数がアナリストコンセンサス予想通りで発表後株価が全く動かなかったとしても、アナリストの予想自体が間違っている可能性もある。つまり今の株価が本当の株の価値を表すとは限らない。
言い換えると無茶に高い期待値がアナリストによって織り込まれた株価が現在の株価である場合、それを裏付けるEPS予想をアナリストが行い、その通りの企業の業績結果が出た場合株価は反応しないわけだがもともとの株価自体が実態を反映していないということはあり得るわけだ。

その場合アナリストの予想と実際の結果を分析する投資家(アナリスト予想を超える結果に賭け、上がった!儲かった!などとやっている投資家)はいったい何をやっているのだろう?
このパラドックスの根源はアナリスト予想がだいたい正しいという前提からくる。

ハクゴはこの前提は懐疑的に見ている。っていうか懐疑的に見るべきだ。

他人の分析を参考にすることは有意義なことだがそれは自分には見えていない視点を与えているという目的を前提としてだ。
考えるのがめんどくさいから他人の分析を参考にするという目的で他人の分析を参考にすることは投資家として賢い行動ではない。

これは効率的市場仮説を懐疑的に見ていることに近い。つまり開示されている情報が正しく効率的に株価に反映されているという仮説は正しくなく、ちょっと違うのではなく時にぜんぜん間違っていることもよくあるのではと思っている。
これは市場参加者の太宗が「めんどくさいから他人の意見を参考にする」という心理に囚われているからだと思う。

アナリストの分析と言うのは情報が豊富で且つ自分が見えていない視点で書かれている部分もあり、その意味では非常に有益なものが多い。

しかし一方で懐疑的な気持ちで読むようにしている。それはすなわち今の株価と言うのは時に大きく間違っている可能性を頭においておくということだ。
なので投資家はまずは自分で株価の分析ではなく企業分析をすべきだと思う。


 ハクゴ録「アナリストの予想は補助的な情報

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(09:22)

2021年09月21日

2021.9.17

PEレシオの最大値とはどのくらいなのか?
ハイテク銘柄の中でたまにグレートビジネスと見られるがバリュエーション (PEレシオ)がとんでもなく高い値が付いている銘柄がある。
例えば以下のような銘柄だ。

TSLA  400x
SQ   230x
NVDA  78x
VEEV  115x

このような100倍超えのようなPERははたして現実的にあり得る値なのだろうか?

現在S&P500のPEレシオはだいたい37倍くらいだ。歴史的な平均が17倍くらいであること考えると80倍とか100倍以上のPERはいったいどう理解したら良いのか?

100倍と120倍の違いなんてもはや理解できない。
いったいどのくらいだと「あり得ない」レベルなのだろうか?今回はこのPERの最大値を考えてみたい。

PERを決める要因は利益成長率、リスク、長期金利が3つの大きな要素
PERがとんでもなく高いということは利益成長が今後とんでもなく高く、長期で続くことが期待されているということだ。
では過去長期に渡ってホームラン級の利益成長を達成してきた銘柄を見てみよう。

過去のスーパー場外ホームラン銘柄としてアップル、グーグル、マイクロソフトを例に取って考える。

これら3銘柄について過去20年の利益成長率を調べてみた。
アップルについては過去33年、1988年まで振り返り、グーグルは2002年以降、マイクロソフトは1990年まで振り返った(31年分)。
利益成長の平均を算術と幾何の両方見てみると以下のようになる。

EPS年間成長率


算術平均幾何平均
AAPL21%15%
GOOGL36%32%
MSFT20%18%
平均26%22%

算術平均26%と幾何平均22%の平均を取って24%と推定してみる。
つまり24%という利益成長を20-30年続ける会社が世界の頂点のレベルと言えるだろう。

これら世界の頂点パフォーマンスを示す企業のPEレシオはどのくらいなのだろうか?
世界の頂点銘柄の利益成長率を24%とし、以下の前提で世界の頂点銘柄のPEレシオがいくらくらいになるのかを試算してみる。

- 24%の利益成長が20年続く。
- 21年以降の利益成長は10%でその後30年間続く。24%成長が永久に持続することは不可能なため10%を永続値とした。実際上記銘柄も直近の利益成長率は過去よりも大幅に落ちている。
- 資本コストは15%とした。現在のこれらホームラン銘柄の資本コストは8-11%程度だが当初はリスクがずっと高いはずで15%とした。

この前提でPERを試算すると 145倍となった

アップル、グーグル、マイクロソフト並みの業績を残す株を20-30年前にPER 145倍以下で買えば資本コストを上回る収益を上げ投資は成功していたということだ。

逆に言うとPEレシオ145倍が限界だということだ。これを超えるPEレシオで買うということはアップル、グーグルよりも高い利益成長を達成しければいけない。これは不可能ではないが超人的に難しいだろう

この世界の頂点レベルの成長率を達成するためのビジネスモデルの要件としてGDPの最大の割合を占める消費者を億人単位で囲い込むこと、つまり世界制覇できていることが条件だろう。アップル、グーグル、マイクロソフトはこの条件を満たしている。

資本コストを変えてみてみる
この145倍の前提の中に資本コスト15%が入っているがこの値は長期金利が上昇すると上がる。現在の低水準の長期金利が今後数十年続くことは考えにくいため長期金利が現在の水準から2%,3%,5%上昇した場合にPERはどう変わる(下がる)かをチェックしたのが以下のグラフだ。


金利レベルが今から2%上がった場合はPEレシオは89倍(約4割減)、3%上がった場合 PERは72倍(約半分)。5%上がった場合 PERは50倍 (約6割減)となる。

まず重要な点は金利だけでこんなに(6割減)ブレるのだ。

長期金利が現在の水準で今後20-30年続くことは考えにくいのでPERの最高可能レベルはおそらく50-89xの間だと思う。これが限界値ではないだろうか。

ざっくり言うとPEレシオは80倍あたりからはもう超人的なパフォーマンス(アップル、グーグル、マイクロソフトなみ)を長期、20-30年で続けない限りこのバリュエーションは高過ぎると言えるだろう。
数千社あるうちの数社しか達成できないだろう。そんなにあちらこちらに見られる現在の株価状況は実態を表していないだろう。

これで言えることは上記の例で見ると SQの230倍、TSLAの400xとかは本当に超人銘柄なのかあるいはオーバーバリューのどちらかだ。

超人銘柄であれば達成は不可能ともいえないがその確率は万分の一とかだろう。このような銘柄が10も20もある状況はおかしい。

VEEVなどはBtoBであり億人単位で消費者を囲い込むことはできないため無理だろう。つまりこのバリュエーションは明らかに高すぎ、持続できないと思われる。


 ハクゴ録「超人銘柄でも PERに限界値はある

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(00:48)

2021年09月15日

2021.9.14-2

️投資家としての成績とは? - Right decision
ハクゴはいくら儲けたかよりも "Right decisions" をいくつできたか、を成績として数えたいと思っている。

確かに投資家としてのゴールはお金を稼ぐことだろう。
これはゴールの一つだがすべてではない。もっと集中すべきことがある。

ハクゴはお金を稼ぐこととより先に「賢明なる投資家」になりたいと思っている。

バリュー投資家の目指す姿」(2020.4.27)でも同じようなテーマの意見を紹介した。
賢明なる投資家は Right decision をする回数が多いはずだ。

そして right decision を多くできれば長期的には儲かっていくだろう。だから right decision をすることは賢明なる投資家の必要条件でありまた結果的に儲かるためのステップでもある。

それでは right decision をするためにはどうすればよいのか?
動く株価と動く感情に影響されない方法」(2020.11.6) で紹介した内容が参考になるが感情にドライブされて判断・行動をしない、ということが一つの重要なこと。

買いたいと感じて買う、のではダメで買うことが合理的と頭で判断して買うことが大切。
買いたいと感情が発生しても頭で合理的に考えた結果買いではないと判断した場合、これも right decisionだ。売りについても同じく合理的判断で売りという決断ができればそれは right decision となる。

投資の中では個別銘柄の買い・売り・ポートフォリオ・現金比率などなどいろいろな判断がある。それぞれに right decision が求められる。
Right decisionを一つ一つ積み重ねていく
これが大切なこと。これが成績となる。

どんな局面でも成績を上げられる
相場が上がる局面は儲け時であるだけでなく right decision の数を重ねるチャンスでもある。

逆に相場が下がる局面では損が出るかもしれない。しかしゴールはあくまで賢明なる投資家になることであることを思い出そう。
損が出たってRight decisionを積み重ねることはできる。つまり成績を上げることができる。
より大きな目的に一歩一歩近づくチャンスは下落局面でもしっかりあるということだ。
こう考えると下落局面だって成績を上げるチャンスということがわかるだろう。

そして賢明なる投資家に近づくほど、長期的にはパフォーマンスが上がる可能性は高まるだろう。

将棋のニュース
これを書いている時ちょうど三冠達成の藤井聡太棋士が以下のようなコメントしていた。

基本的に「最善手に近づく」のが、勝ちに近づくのとほぼイコールなんです。もちろん勝つことが最終的な目標ですが、それを最初から意識する必要はないという考え方をしています。

勝ちを意識せず最善手に近づくことを意識する。これは儲けることより Right decisionをすることを自分の成績とするという考え方と似ていると思った。


 ハクゴ録「株式市場が上がろうが下がろうが賢明なる投資家に一歩一歩近づくチャンスはいつでもある

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(04:44)

2021年09月14日

2021 Sep 13

愚かさに支配される時
人はcontrolling power(支配力)を持つほど愚かさに支配される傾向が強まる。
これは地位や知性と全く関係ない。頭が良いと思われている人でも力を持つとそれを賢く使えないということはよくあることだ。

例えば企業経営者が増資で多くの現金を手にしたとする。何に使うか?資本効率が最も高い使い道に使うべきだ。

ならば何に金を使うと将来のフリーキャッシュフローが最大になるのか?ということを経営者が熟知していないといけない。

金があるからと言って「とにかく設備増強」とか「多角化」とか効果がわかっていないのに金を使うとたいていは近い将来価値毀損となりがちだ。

Controlling powerには現金もあるが、株価もある。また低金利もpower だ。株価が高いと買収が容易になるからだ。
「とにかく買収」とか拡大したいという欲にかられて買収する。
こんな判断をするといずれは減損になり株価に影響するだろう。

Capital allocation

企業が稼いだ利益をどう使うか?これが Capital allocation. Capital allocation では特に合理性が要求される。

業績好調の時、CEOは利益が出ているので利益分配という controlling powerを手にする。
ここが最も愚かさに支配され誤った判断をする可能性が高まる局面だ。

価格無視の買収、余計な拡大など。

企業統治上は取締役会に承認権限があるが CEOは「知性」を活用して取締役会を自分の持っていきたい方向に誘導する。
こうやって企業は大きなミステイクを犯していくのだ。capital allocationを間違えるとかならず将来そのツケけを払うことになる。
つけを払うのは CEO ではなく投資家だ。

株価が最高値の今、多くのCEO は大きな Controlling powerを手にしている。高い株価、増資した金、利益で稼いだ金、安い融資。これらを賢く使える CEO がどれだけいるだろうか?
投資家としては業績好調な企業が利益をどうやって使っているかも重要なチェックポイントとなる。


 ハクゴ録「Capital allocation - 企業の最重要意思決定項目の一つを今見直す

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(05:03)

2021年09月08日

2020 Oct 3-2

グレートビジネスは暴落時に下落率が低い
前回、グレートビジネスは暴落時にアルファを稼ぎやすいと述べたがここを今回深堀したい。

2020年3月にコロナの相場で米株は大暴落したわけだが具体的には S&P500が34%暴落した。
この時、実際ハクゴが保有していた以下のグレートビジネスの下落率を確認してみると以下の通りだ。

銘柄2020年暴落時の下落率
S&P500-34%


AAPL-29%
FDS-27%
AMZN-16%
CHD-19%
ISRG-36%
GOOGL-30%
BRK.B-26%
WAT-28%
ILMN-30%
TDY-40%

S&P500の下落率 -34% を下回ったのは2銘柄だけだった (ISRGとTDY) 。

- ISRGはバリュエーションがもともと高過ぎたため下落幅が大きかった。割高な株は暴落時には一気に下がることを示している。しかしながらISRGはその後コロナで下落前の高値から75%も上昇している(同S&P500は+34%)。
- TDYは航空業界へのexposureが大きいため大きく下げた。

その他の銘柄はS&P500より下落率が小さかった。平均して 6%のアルファを稼いでいる。この間たったの一か月だ。
つまりグレートビジネスで固めたポートフォリオを持っていて暴落が来ると短期間でアルファを稼げる可能性が高いと言える。

放っておいてもアルファが稼げるがこの時、現金を持っていれば当然買いとなり、ここで買えればさらにアルファを稼ぐことができる。
つまり売らないだけでもアルファが稼げるが、暴落で買えればさらに収益が加速する。

今後株高の行き過ぎの調整で株価全体が下がる場合、2020年のように強く戻すことはないかもしれない。それでもアルファを稼げる可能性は高いわけだ。
つまり絶対リターンはわからないが相対リターン(アルファ)は稼げる可能性が高い。
そしてグレートビジネスは長期で絶対リターンを稼ぐ可能性は極めて高いことからグレートビジネス投資家にとって暴落はパフォーマンスを伸ばす絶好のチャンスと言える。

実際「2020年の運用成績速報!」(2021.1.2) で紹介したがハクゴは2020年は +16.5%という非常に強いアルファを達成することができた。
2020年の投資結果を振り返る」(2021.1.5)ではその内容についても振り返っているのでご参考にどうぞ。

結論、

 ハクゴ録「グレートビジネスでポートフォリオを固めておけば暴落はむしろチャンス

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(22:34)