2022年09月

2022年09月30日

2022.9.29

株価の暴落で思い出す言葉

"Be fearful when others are greedy, and greedy when others are fearful."
「他人が貪欲になっているときに恐れ、他人が恐れているときにだけ貪欲になれ」

これはバフェットがよく言っている有名な言葉だがオリジナルはバフェットの師ベンジャミン・グレアムが言った言葉だ。バフェットはベンジャミン・グレアムから多くを学んでいる。「バフェットを「読む」【第41回 2013年株主への手紙】」の二つ目のトピックでバフェットがいかにベンジャミン・グレアムから強い影響を受けたかについて紹介しているが今回のこの言葉もベンジャミン・グレアムの言葉。

市場に「恐怖」が見え始めた
今日の株式相場には "fear" が現れ始めているとハクゴは感じる。直接的にはアップルの生産弱気のニュースでハイテクが売られたことだがこのセンシティビティに市場の恐怖レベルを感じた。
これこそバリュー投資家が長年待っていたことだ。株価の行き過ぎはめったに起こらない数年に一度とかそんな頻度だ。慎重に行動する。その間長い時間があったが「暴落が起こったら絶対買いたい株」をひたすら研究してきたはずだ。そのチャンスが近づいてきているかもしれない。

年初来弱気の相場だがまだ「恐怖」までは感じられなかった。しかし今日のこの相場は恐怖が現れ始めていると思う。

ボトムを当てることは難しい。貪欲になりすぎるのはよくないが今一度長期金利の前提をアップデートし、バリュエーションを確かめてリスクに対して十分なリターン、平均以上のリターンが得られるグレートビジネスから買っていきたい。

今取る行動が将来の糧となる
今「合理的な行動」を取ることができれば次のブル相場では追っかけ買いをしなくなる確率がグンと上がるだろう。つまり今の行動が将来の行動を改善するのだ

合理的な行動のトラックレコードを一つ一つ積み上げていくと次は今回より簡単に合理的な行動をとることできるだろう。この能力はまるで複利計算のように増えていく。

2020年の暴落時を思い出す。ハクゴは2020年のコロナの時、相場が豪快に大暴落した時全く売らずボトム近くでバークシャーに突っ込むことができた。バークシャーが一番リスクが低くバリュエーション的にも適切と分析したからだ。
その時の経験で2021年のブル相場では追っかけ買いを減らせたと思う。つまり合理的な行動を増やすことができた。そして今、現在の暴落時も合理的行動が何かが昔よりはっきり見えていると感じる。

どこがボトムかはわからない。

しかし「賢明なる投資家」にまた一歩近づくチャンスが来ていることは間違いない。そしてこの一歩は将来の行動に影響を与える重要な一歩になると思う。

ハクゴ録「合理的な行動のトラックレコードを一つ一つ積み上げることが大切」

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(03:06)

2022年09月29日

2022.9.28

大きな視点を忘れない
現在アメリカはインフレが大きな問題でそれに起因する長期金利上昇が株式市場に大きな影響を与えている。

インフレは大きな問題だ。これは通貨の購買力を弱めるためだ。購買力を上げることこそが投資の目的であり投資は経済成長の重要なリソースだからだ。

しかし付随的現象である長期金利の上昇は今のレベルは問題とは思えない。歴史的にはむしろ低い。「数年後に大きな差をつけるチャンスが今来ている」(2022.9.15) でも紹介したが長期金利の上昇は株式の本質的価値を下げる。しかしそれ自体は別に悪いことではない。本質的価値の変化というのは海の上の波のようなものでいつの時代でも常に起こっている。今後もずっと波打ち続ける。経済の属性の一つだ。

80年代も高金利、高インフレだったが結局のり越えた
80年代のインフレは今よりはるかに高かった。銀行のプライムレートが12% もあった。今は上がったといっても6.25%だ。
当時の高い金利状況で利益を出すのは困難だっただろう。実際株価は度々暴落した。
多くの人が株を売ったわけだ。

なぜか?なぜ当時の投資家は株を売ったのだろう?

金利は二ケタ。インフレも二けた。将来に悲観的だった人が多かったのではと思う。株はもう成長しないと判断したからだ。株価が今後も成長すると判断したなら売らなかったはずだ。

株を売った人たちのそのような心配は当たったのだろうか?

全く当たっていない。

1980年代初頭から40年後の今、S&P500は30倍になった。

株価は企業が生み出す長期のキャッシュフローを反映する。40年後の今は明らかに当時から見れば長期だ。

当時売った投資家は高インフレ高金利の状況で長期のキャッシュフローを反映するはずの株価が今後上がらないと判断したから売ったのだ。
上がらないどころか30倍になった。

今も昔も人は過度に反応する。経済の波は既知のことなのに。
経済成長は一時的に滞ることはある。それはいつの時代でも言えることだ。長い投資人生でインフレもリセッションも今後何度もやって来るだろう。

経済に波があることはみなわかっている。それなのに一時的に滞るとすぐに皆「もう成長は終わりだ」と過度に悲観的になるものだ。
これはメディアの影響も大きい。しかし超長期で見ると経済は今よりはるかに成長していることは間違いない。

下がる株価は長期投資家にはプラス」でも紹介したが科学技術は進歩し続ける一方で生み出される効用は経済的価値に転換され続ける。そして今後もアメリカがその担い手になる可能性は極めて高い。
アメリカ全体を代表する企業の集合体の本質的価値が今後もずっと下がり続ける可能性はまずない。それなのに短期で株価は下がる。時に大きく下がる。短期の動きは長期的には間違っている。この矛盾は投資家がフォーカスするところが間違っているからだ。

投資家は少なくとも10年後、20年後を考えて行動すべきだ。今インフレが高いのは確かだ。しかしそれが投資先企業の10年後、20年後の競争ポジションに影響するのかどうか?これこそが常に考えるべきことだと思う。

もちろん影響される可能性もある。インフレによって競争力を失う企業が出てくることもあるだろう。しかし株価が下がったから「競争力がもうなくなるんじゃないか?」と心配するのは客観的分析ではない。これは前回紹介したように、ミスターマーケットに "guide" されてしまっている状態だ。

ハクゴ録「長期の未来にフォーカスすることを忘れないことが大切」

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(04:32)

2022年09月28日

2022.9.27

Mr. Market is there to serve you, not to guide you.

「ミスターマーケットは投資家の役に立つためにある。投資家はミスターマーケットにガイドされてはいけない。」これはバフェットの言葉だ。

ミスターマーケットとは市場の心理で動く株価のことでミスターマーケットは気分次第で株の本質的価値より大幅に安い株価を出すこともあれば大幅に高い株価を出すこともある。ミスターマーケットのおかげで株価というものは短期的にどこにでも行き得る。このようなミスターマーケットに対し投資家はどのように接していけばよいのか?

これは「バフェットを「読む」【第41回 2013年株主への手紙】」(2022.8.12) の2つ目のトピックでも取り上げた内容だ。

ミスターマーケットがとてつもなく割安な株価を出した時だけ利用させてもらうのが投資家として正しい行動だ。これがミスターマーケットが投資家を "serve"している状態。つまりミスターマーケットは良い株を安く買えるよう投資家の助け(serve) になるべきなのだ。

逆にミスターマーケットに行動を誘発 (guide) されて行動するということは株価が下がったときに怖くなって売ったり株価が上がると釣られて買ったりすること。

このような行動は自分で考えた企業価値に対して株価が高い低いと考えて行動するものではない。株価に誘発されて行動を取っている。つまり株価に動かされて行動している状態と言える。このような行動が最悪で株価に "guide"されてしまっている。自分に主導権があるのではなく株価に主導権があるようなものだ。

ミスターマーケットは気分次第で違う株価を毎日出してくる。それに誘発されてはいけない。株価は利用すべきものであって株価に動かされてはいけないということだ。株価に誘発された行動の先には問題が待っている。

正しい買いの条件
正しい買いの条件は次の二つに集約される。

①グレートビジネスであること
②株価が本質的価値よりも安いこと。

この二つ目に株価が出てくる。

ミスターマーケットが"serve"する場合でも"guide" する場合でもどちらにしても投資家は株価をベースに行動を決めることになるがミスターマーケットが "serve"して行動する場合と"guide" して行動する場合で投資家の行動にはどのような違いが出るのか?

行動は全く逆になる。

株価が暴落する中 "guide"された場合売りという行動に出るだろう。一方 "serve"された場合買いという行動に出るだろう。もし株価の動きに反応するとしたらそれはその企業の長期のバリュエーションに変化があるかを見直すことだ。これは企業のオーナーとして常にやることだ。

同じ株価をベースに行動しているのに行動は全く真逆になるのだ。

ミスターマーケットを自分の「家来」にする
ミスターマーケットを自分の言わば「家来」として使うのか、自分がミスターマーケットの家来に成り下がるのか。これによって投資家の行動は真逆になる

ミスターマーケットを家来にできれば株価が下がった時にはそれをうまく利用してグレートビジネスを安く買う(serve you) という上で述べた株の正しい買い方ができるだろう。逆にミスターマーケットの家来になってしまえば買うべき時に売ってしまう、売らされる(guide you)ことになる。

下がった時に買うか売るかはミスターマーケットを自分の家来として使えるかどうかで決まるわけだ。
今回の下げ相場でミスターマーケットを自分の家来にしておかないといずれ必ず来るブルマーケットでも家来のままなので上がるたびミスターマーケットの言いなりになって買う投資家のままだろう。

つまり今投資家がやるべきことはミスターマーケットを自分の家来にすることだ。それさえできればピンチに見えた状況はチャンスに変わるだろう。

これは投資家にとって簡単なことではない。その意味で大きなチャンスともいえる。

ハクゴ録「今、主導権を握るとき。主導権取られている場合じゃない。」

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(02:01)

2022年09月24日

2022.9.23

長期金利の上昇は正常なこと
長期金利が今は3.7%まで上がったがそもそも今までが低過ぎだったというのが正しい見方だと思う。
今までみたいに2%以下とかが長期的に持続することは考えにくい。

投資というのはそもそも「今の消費をしない代わりに投資して将来より高い購買力を獲得すること」を目指すことだ。これが投資をする意義だ。もしこれが成り立たないなら今消費するのが合理的な選択となる。持っているほど購買力が減るのだから。

例えば10年米国債の利回りが2%の場合税金とインフレ率を引くと実質でゼロだ。つまり10年間で購買力増加がゼロの投資機会ということになる。これを多くの投資家が今まで買ってきたわけだ。しかしこのような証券を買うというのは上で述べた理由で全く合理的ではない。なのでいずれは長期金利が上がるかあるいはデフレが期待されるかどちらかが起こる。デフレになれば同じ金額でも購買力が上がるからだ。

なので現在長期金利が上昇しているのは投資家が "Less crazy" になってきているという証でありこれは資本市場の値付けという意味で明らかに良いことだ。 市場参加者がcrazy になるほど最後は大きな問題を引き起こすからだ。

つまり今までの長期金利水準は明らかに異常であり、その意味では長期金利はまだ上がる余地は大きい。歴史的な水準を考えると5%-7%でも全然低いと思う。

一方で今まで超低金利でも国債が買われてきた理由である投資需要は中間層の人口と失業率が長期的な観点で大きなファクターと考えられ今後もそれほど大きくは変わらないと考えられる。これは長期金利を押し下げる要因となるため一方的に上がることはないだろう。

長期金利の上昇により株の本質的価値が下がる
長期金利が上がると株式のバリュエーションは必ず下がる。なので株価が下がっているのは全く合理的な動きだ。こんな超低金利は永久には続かないという健全なメッセージだ。

投資資金特に今まで債券の中でもジャンクボンドとかに過剰に流れていた資金はむしろ株式市場の中でも選別された優良株式に向かう可能性が高いと思う。今までIPOやVCなどに流れている投機的資本なども流れが大きく変わっても全く不思議ではない。

長期金利の上昇は全く正常であり株価が下がることも極めて正常だ。株の本質的価値は上がったり下がったりするものでそれは昔からわかっていること。景気に影響される部分もたしかにある。これはグレートビジネスを選択することで影響を最小限に抑えられる。グレートビジネスの重要な資質として景気サイクルにかかわらず需要があるということがあるからだ。

投資家がフォーカスするべきことは全く変わらない。優れたビジネスはどれなのか?グレートビジネスはどれなのか?それがリーズナブルな株価まで下がったら買うことだ。

投資家の心理が影響され過度な行動が起これば、つまり非合理的な動きが始まれば買いのチャンスが生まれるだろう。

ハクゴ録「長期金利も株価も全く合理的な動きだ

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(06:38)

2022年09月23日

2022.9.22
ドル円為替が大きく動いている
急激な円安に対応して日銀が為替介入した。
円安が進んでいる主因はインフレに対応してドル金利が上昇していることにある。日本も同じように利上げをすることが合理的な対応策だが景気への影響からそれは難しい。

経済現象は必ず波及効果があり一つ行動をとるとそれで終わることはない。
金利を上げたら為替が動き、為替が動くと、輸出量が影響され、輸出量が影響されると株が影響され。。。。と影響は複数かつ段階的に波及効果が続く。しかもいつも同じように反応するとも限らない。またこれらの動きを読むことで投機資金が資産価格に大きな影響を与えるという要素もある。

円高になると悲鳴が聞こえ、円安になっても悲鳴が聞こえる。
結局経済に競争力・対応力がないとどっちに動いても、何が起こっても悪い方向にいってしまう。

競争を促進し企業競争力を上げることでマクロ変化への適応力をつける
金利を上げることで円安を抑えたいところだが企業の金利負担が増えるし住宅を保有する人のコストが上がり消費に影響するだろう。しかしそれに対応できる企業、消費者であればよいのだが経済が硬直化していると柔軟に対応することができない。
合理的な経済運営ができることは長期の経済発展にとって大切なことだ。そのためには競争力のある企業が伸びていく環境が必要だ。

日本の場合既得権益の力が強く新しい企業が活躍しにくいことや大企業でも株主の力が思うように働かず経営を変えることができず競争力が育たない。

競争環境が過熱する一方の世界との差はずっと離れ続けるだけだろう。ハングリーな新興国は貧困層から立ち上がろうと競争力を必死でつける努力をしている。トップを走るアメリカでも絶えまない新陳代謝が所与として競争がなされている。これは競合との関係でもそうだし社内でも同じことだ。

大企業病になると企業の外でも中でも既得権益を守ることに最大の時間と能力を使うことになる。法律は一番強い力だが法律やルールとして明文化されない部分でも既得権益保持のために多くの時間と労力が費やされる。大企業病はどこの国にもある。人間の保身本能が生み出すものだからだ。

競争を促進させるフレームワークが大企業病の治療薬となる。
競争により生産性が上がる。増えた生産は価格メカニズムでいずれは社会全体が恩恵を受ける。ここから発生する歪みを調整するのが税制や雇用法など政府の役割もある。日本は生産性が低いがその主因は競争が阻害されているためだと思う。逆に改善の余地は大いにあると見ることもできる。

為替など環境の変化に対応する力も競争力を高めることから生まれる。政府の為替介入などは金額に限度がありそれが逆に弱みであることはとうの昔にわかってしまっている。簡単に収まるものではない。

マクロ環境が今後も長期間平穏で続くことはあり得ないことは明らかでそれに備えるという意味でもどんな荒波も乗り越えられる競争力をつけることが必須だろう。

投資家としては国境を越えてどこにでも投資できるので競争力のある企業に投資することが合理的な判断といえる。

ハクゴ録「競争を阻害するのではなく促進する施策が企業を強くする。」

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(00:22)

2022年09月21日

2022.9.19

難しい問題は解かないのが正解
前回投資家は株価ではなく「クーポン」に注意を向けるべきだという話をした。クーポンとは企業が生み出すキャッシュフローのことだった。

クーポンの推定は簡単ではない。需要、競合の状況、コストも変化する。結果的に利益を読むことは容易ではない。長期であればなおさらだ。

今次インフレというまた一つの重要な変数が出てきた。これの影響を投資家は考える必要がある。

価格決定力がある企業はコストが上がっても価格転嫁できるので利益は減らない。しかし株価はつられて下がる可能性が高い。ここに商機がある。

ハクゴが保有する企業はもともと強い企業ばかりを選んでいるため基本的にどの銘柄も心配していない。どちらかというと売られすぎているときに買い増しするチャンスをうかがっている。

どれを買うべきなのか?

インフレという新しい変数で企業の価値がどう変わるのかを考えることになる。

この新たな問題をどう解決するか?

ハクゴの分析のアプローチは確実と言えることを元に投資の判断をするようにしている。つまりインフレの影響が微妙な企業には手を出さない。

インフレによってクーポンが減る可能性はないのか?を考えてみるとインフレによりコスト増の影響はすべての企業が食らう。コストが上がるので価格転嫁ができなければ利益が減る。したがって「価格転嫁力」が今フォーカスすべきポイントだ。

この観点で「2022年第二四半期結果」で紹介した直近トップ10銘柄について見てみる。

明らかに価格決定力が強い企業を〇 微妙な場合は△ とした。

アップル (AAPL)  〇
ブランド力から値上げ余地が高い。競合がいるためもちろん一気には上げれないがもっと上げられると思っている。

アルファベット (GOOGL) 〇
グーグルなどは検索シェアが圧倒的で広告主が広告を出すとき他社を選ぶことは難しい。

チャーチ・ドワイト (CHD) △
チャーチ・ドワイトは微妙。ブランド力があるものの最大顧客のウォルマートに対して値上げをすることは簡単ではない。ウォルマートに行ってチャーチ・ドワイトの製品がなかったらいつも使っている顧客はちょっとしかめ面だろう。他社製品を買う人もいれば他の店で買う人もいるはずだ。チャーチ・ドワイトの主力製品は消費財で「減ってきたのでそろそろ買っておくか」という気持ちで買う。緊急性がそんなにないので来週他の店で買おうと判断する顧客もいるはずだ。インフレも乗り切るとハクゴは見ているので売らないが積極的に買い増すこともない。値上げにより顧客が減るかどうかは微妙だ。こういう企業は判定が難しい。判定が難しい問題は解かないのが正解だ。つまり下がる局面はあるだろうが、買いは控えるのが賢いと考える。下手に考えると「買いたいから買う」というトラップにハマる可能性がある。

ファクトセットFDS  〇
ファクトセットは競合の中でもサービス料が圧倒的に安くインフレ下でむしろ新規顧客を獲得できるだろう。値上げしても他社はファクトセットよりはるかに価格が高いので上げる余地がある。

バークシャー・ハサウェイ BRK  〇
バークシャーは価格決定力を持つ企業、ローコスト経営の集合体でインフレを乗り越えられる力十分。

マイクロソフトMSFT 〇
クラウドは価格競争激しいがOSの"Personal"、業務用ソフトの"Productivity" など会社の 2/3 は価格決定力Max 企業だ。顧客はほかに選択肢が少ない。

アマゾンAMZN △
アマゾンは微妙。小売り業は仕入れ先に強い交渉力があるが価格センシティブな顧客に対しては強くない。一方アマゾンプライムの値上げ力はかなりあると思う。価格インセンシティブな顧客を AIで探す能力があるが消費者の太宗は価格センシティブだ。値上げすれば安い小売店に流れるだろう。

オライリー ORLY △
オライリーは競合他社がいる状況で値上げは簡単ではない。インフレで需要は増えるだろう。この企業もインフレを乗り切るとハクゴは見ているが明らかな価格決定力という観点では確信はない。

ウォーターズ WAT △
顧客はメーカーを変えたくないというインセンティブが非常に強い。心理的なスイッチングコストが高いが予算も厳しく決まっている顧客が多い。買い控えも容易なため簡単には値上げできないだろう。

ダラー・ジェネラル DG 〇
消費財のディスカウントストア。他店でモノが高いと感じた顧客はダラー・ジェネラルに安い商品を求めてやってくる可能性は非常に高い。

チャーチ・ドワイト、アマゾン、オライリー、ウォーターズなどは明らかな価格決定力があるとは言えないとハクゴは分析している。

このような企業は買わなくてよいのだ。「価格決定力あるのか?ないのか?」と悩むような銘柄は買わないほうがよい。「明らかに」価格決定力があるものだけを買う対象にすればよい。あとは下がるのを待つ。

マイクロソフトなどは価格決定力という観点で明らかに強みを持っている企業の筆頭だと思う。OSなど10%値上げされても買わないという選択肢はない。
ファクトセットも10%値上げしても顧客のほかの選択肢はファクトセットの価格の2倍だ。このような銘柄はインフレを乗り越える可能性は非常に高いと見ている。つまり利益は減らない。株価が下がってくれば狙っていく。こんな感じで皆さんも今一度保有株や狙っている株を分析し直してみると面白い。インフレの進行に伴って業績がどう推移するかをモニターすることで投資家として分析力がつくだろう。

インフレがチャンスになる
顧客が価格センシティブになるとき本当の実力が試される。インフレ局面でマーケットシェアを伸ばせる企業が必ずある。これを探すのが今投資家として今一番面白いことだと思う。

判定が難しい企業はたくさんある。真に競争力がある企業は数が少ないからだ。難しい問題は解かないのが正解なのだ。簡単に言い切れる企業だけを考えればよい。

ハクゴは分析でいつも留意しているのは「この自分でさえも正しく予想ができることを元に投資行動を決める」ようにしている。

今回の例でいえば確実に価格決定力があると言い切れる銘柄だけを対象に買いを狙うわけだ。

ハクゴ録「難しい問題は解かずに避けるのが賢い

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(00:33)