2022年08月09日

2022.6.11-2

世界最高の投資家から投資を学ぼう企画。1977年からのバフェットから「株主への手紙」を読破する。
バフェットを「読む」は毎年バークシャー・ハサウェイ社の年次報告書で発表されるバフェットの「株主への手紙」原文を読みその年の内容の中で最重要と思われる2,3点を抜き出して解説する。
バフェットは投資とビジネスの様々な局面でどう考え、どう動くのか?これを読み解いていけば巨人の肩に乗り投資家として今よりもずっと遠くが見えるようになるだろう。そしていつか自分の足で立ちバフェットの視座から世界が見えるようになることを目指す。
抜粋部分には書かれていないバックグラウンドなども紹介してより立体的にバフェットの考え方を理解できるように解説したい。
賢人の教えを学びより多くの人とここで理解をシェアしたいと思う。多くの人が投資家としてより良い判断ができるようになればビジネスは賢くなり、より豊かな社会につながるだろう。

目指すは賢明なる投資家!

2011年バークシャーの保有株は以下の通り。
銘柄MKT value
($mil)
割合
American Express Company7,1519.3%
The Coca-Cola Company13,99418.2%
Conoco Phillips2,1212.8%
IBM11,75115.3%
Johnson & Johnson2,0602.7%
Kraft Foods Inc.2,9533.8%
Munich Re2,4643.2%
POSCO1,3011.7%
The Procter & Gamble Company4,8296.3%
Sanofi1,9002.5%
Tesco1,8272.4%
U.S. Bancorp2,1122.7%
Wal-Mart Stores, Inc.2,3333.0%
Wells Fargo & Company11,02414.3%
Others9,17111.9%
Total76,991100.0%

それでは2011年の内容に入っていきたい。

四半期では何を追いかけていくべきか
"A few years ago NetJets was my number one worry: Its costs were far out of line with revenues, and cash was hemorrhaging. Without Berkshire’s support, NetJets would have gone broke. These problems are behind us, and Jordan is now delivering steady profits from a well-controlled and smoothly-running operation. NetJets is proceeding on a plan to enter China with some first-class partners, a move that will widen our business “moat.” "

「2,3年前はネットジェットは一番の悩みの種だった。コストが高過ぎたしキャッシュは垂れ流し状態だった。バークシャーのサポートがなければ倒産していただろう。今はこのような問題はもうなくなった。そして新しいCEOのジョーダンがちゃんと経営をしてくれて利益も上がっている。中国市場へもパートナーシップで進出しようと計画中でこれは「堀」を広げることになるだろう。」

【解説】
ネットジェット社は「第29回 2001年」の二つ目のトピックでもでてきたプライベートジェットの共同保有サービスの会社だ。これが中国マーケットに進出していることについて評価している。

ここで取り上げた理由はハクゴは日々考えていることの一つに投資先企業の何をフォローすべきなのか?ということがある。

もちろん企業の内容や決算などを見るわけだが四半期決算などは別に数字が悪かったからと言ってそれは長期のトレンドを表すともかぎらない。数字が良かったと言って長期で良い業績が続くとも限らない。そうすると四半期業績チェックする意味あるのかと疑問に思っていた。

バフェットも最低でも5年の業績を見ると言っている。つまり一年や二年の決算を見ても何も意味ある結論はできないと言っている。ましてや四半期の決算ではもっとわからない。

しかし長期の業績トレンドを見ると業績の優劣ははっきりわかる。いったん優れた企業だとわかればあとは年に一度で十分ではないだろうか?その年の数字が良くても悪くてもだからといって意味ある結論は出ないのだから。

では何をモニターするか?そこでヒントになるのが今回取り上げた部分で、中国に進出することを "a move that will widen our business “moat." と言っている。

このようにオペレーション上のアクションは四半期毎でも一年でも評価できると思う。もちろんそのベースとなる戦略と実際の結果を追いかけていく必要があるが投資先企業の大きなアクションが実行する上で無理がなく競争上も効果的であることを判断することは大切だと思う。つまり経営者の行動を追いかけなぜそのようなアクションを取ったのか?を考えていくということだ。

銀行への投資
"At Bank of America, some huge mistakes were made by prior management. Brian Moynihan has made excellent progress in cleaning these up, though the completion of that process will take a number of years. Concurrently, he is nurturing a huge and attractive underlying business that will endure long after today’s problems are forgotten."

「バンクオブアメリカの前の経営陣は大きなミスを犯した。ブライアン・モイニハン現CEOはまだ数年はかかるがそれら過去の失敗を片付ける仕事を見事に成し遂げている。同時に彼は今のこのクレジット問題が片付いた後もずっと継続する魅力的なビジネスを作ることに取り組んでいる。」

【解説】
バンクオブアメリカは現在はバークシャーの2番目の大きな保有株だ。なぜバフェットはバンクオブアメリカを買ったのだろうか?

バンカメのバランスシートがリーマンショック後ボロボロだった時に後始末をしていた現GEOのブライアン・モイニハンの仕事ぶりを見てバンカメへの投資をした。銀行業務を単純化し銀行業の基本に戻すという姿勢と彼の合理的で方法論的な経営を続けていけばバンカメの企業価値はいずれは上がっていくとバフェットは考えた。

バフェットは銀行と言うのはちゃんとやればちゃんと儲かるビジネスだと考えている。「儲かる」というのは高いROEを出せるということだ。

銀行の利益(株主利益)と言うのはROAと財務レバレッジで決まる。債務者のクレジット評価をちゃんと行い、担保などをちゃんととり、クレジットリスクに応じた金利をチャージすること。そして財務レバレッジはほどほどにすることで株主利益、すなわち良いレベルのROEを十分稼げるビジネスなのだ。そんなに高いROEは出ない。しかしほどほどに良いROEは稼げるビジネスだ。

銀行と言うのは非常に地味なビジネスで拡大も地道なものだ。顧客のバランスシートの拡大ペースと新規顧客獲得くらいしか拡大する術はない。このような地味なビジネスでもっと速く稼ぎたいと考えると審査を緩めたりデリバ売り始めたりいろんなことに手を出し始める。

銀行で貸出残高を増やすのは簡単だ。審査基準を緩めればいい。そうすれば悪い借り手がいくらでも寄ってくる。しかしそれは将来の貸し倒れを保証するようなものだ。そしてこれは歴史上繰り返し起こっている。つまり規律, discipline, patience とビジネス拡大のバランスが銀行の経営では一番大切でバフェットはその資質をブライアン・モイニハンに見出したのだ。

ハクゴ録「四半期業績は経営者のアクションをチェックする

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