日本経済

2022年06月09日

2022.6.8

円安進行中
円安がかなり加速している。
資本が逃避しているのとの見方もある。実際にこの短期の為替の動きが資本逃避を直接表しているのかどうかはわからない。しかし資本家に報いない企業から資本が流出するのは自然な流れだ。

拠出した資本にどれだけ報いているかを表す一番端的な指標は ROE だ。

日本の企業のROEは非常に低いことが知られているがこれは資本効率が悪いということで投資した資本が増加するスピードを表す。当然高い方が投資家にとって望ましい。

大企業病がはびこる
資本効率が悪いのは結局ビジネスオペレーション上でインプットとアウトプットの比が悪いということでこれは日本のビジネスの多くの場面で見られる。

労働時間(インプット)が長いが生産性(アウトプット)が低い。大企業病とも言われる。

長時間労働しているが生産に全くつながらない場合が非常に多い。

例えば社内政治で勝つために都合の良い状況を作ることに部下の時間が使われているとか。
社内ルールが多すぎてそれを comply するための作業に膨大な時間を費やすとか。comply しないと責任者はマイナス点となるため社内ルールは過度に保守的な運用となりがちだ。
業績が悪いため損や失敗をごまかすための作業時間。ネガティブな報告をしなければいけない場合。
若い才能を上に上げていく仕組みがなく転職されるとか。リソースの活用ができていない。

結局大企業病になると企業の構成要素である一人一人が皆自分を守る保守行動を取ることで社内のリソースが無駄に使われてしまう。つまりインプットが多いわりにアウトプットはほとんど変わらないという状況となる。agency costなどと呼ばれる。

これが治らないと結局株価も上がっていかない。ROEが低いままだから。

大企業病はアメリカ企業でも見られるしどこの国でも起こり得る。
80年代のアメリカなどはひどいものだった。経営者が会社のリソースを無駄遣いし株主利益を全く考えず私物化する状況が多く見られた。
しかしアメリカの場合多くの企業は失敗から学び進化していった。90年代のIBMなどは有名な話だ。

日本の企業、特に大企業に特徴的なのは失敗から学ぶ外圧がまるでないことだ。
これが続くといずれは資本は別のマーケットに向かうだろう。そっちに投資した方が増えるのだから。

その動きが今加速しているかどうかはわからないが可能性はある。

ハクゴ録「資本効率の悪い企業からはいずれは資本は逃げる

下の「米国株」のところで応援クリックいただけると大変励みになります!
  ↓


米国株ランキング

(05:36)

2019年04月29日

2019 Apr 28-2

平成時代の日米株価を比較してみた
「日本株と米国株の長期のパフォーマンスの比較」について前々回「日本株には興味ない理由」で述べたが平成が終わる今、平成時代30年間の日米株式のパフォーマンスを改めて比較してみた。



平成元年平成31年成長率年平均成長率
日本日経平均¥ 32,900¥ 22,200-33%-1.30%
アメリカS&P500$317$2,939827%7.70%

あらためて思ったが全く比較にならない。


下の「米国株」のところで応援クリックいただけると大変励みになります!
  ↓


米国株ランキング

(11:37)

2019年04月28日

2019 Apr 27

米国株しか投資していない
多くの日本企業は株主価値を生み出すことができていない。株主価値の創造という認識が未発達でまだまだ時間がかかりそうだ。長期において資本コストを上回る利益をあげないと株主価値が生み出せずそのような企業は存続が危ぶまれるということを認識しないとダメだ。

株価は株主価値とイコールではないが長期では近いものになる。ベンジャミン・グレアムの言葉を思い出そう。

「短期的には市場は投票マシーンであるが、長期的には秤量マシーンである。」

ならば日米のインデックススプレッドに賭けるファンドを作れば確実に儲かるということだろうか?という気もするがあまりにテクニカルになりすぎるよりも自分が良く分かっている確実なゲームに参加するのが賢い投資家だ。

年齢低くても経営に参加させるべき
日本の企業の場合特に年功序列が問題とされる。確かに若い人は「平均的には」知見が少ないかもしれない。でも例えば日本の一流企業と呼ばれる会社で20代後半くらいの若手が100人いれば2,3人はとびぬけてビジネスセンスが高い人は絶対いる。このような人材はとっとと昇進させて社長の直下でトップエグゼクティブやるべきだ。このような人材に10年20年同じレールを走らせて疲弊させるのは年長者の既得権益保持に過ぎず株主からしたら無駄でしかない。30代にもなれば社長できる人材はすでにいて子会社社長とかを3,4年やらせてその後副社長レベルで使うべきだ。世界のトップで競争している集団はビジネスにせよ学問の世界にせよスポーツにせよどこであっても一握りの天才に舵を取らせて組織として勝てるよう勝負しているのだ。アメリカの一流企業ではトップMBAスクール卒は社長になるために雇われる。社長が学生を一本釣りする場合だってある。

この観点からいわゆる「生え抜きCEO」制度を残している公開企業は「モノ言う株主」からプレッシャーを受ける。この一例が P&Gだ。この会社は昔から生え抜き社長制度を死守しているので株主価値を最大化できていないのでは?と株主から突っ込まれている。

これについては「祝暴落!Church & Dwight」をご参照。

日本では経営者と株主の利害が結びついていない
そしてサラリーマン社会では自分の保身が第一になるがこれはアメリカでも同じ。

しかし日本では株主と経営が利益が全く一致していないため上に上がれば上がるほど得た権力を株主ではなく自分の保身につかうことになる。

株価が下がっても経営者は株保有はオマケ程度にしか持っていないのでたいして影響ない。給料減るわけじゃないし取締役会さえ牛耳っておけば社長はクビにはならないからだ。株主さえなだめていれば高給と会社のコントロールは安泰だ。これは構造的に終わっている。アメリカのように会長のみ従業員(社長)にしてあとは全員社外取締役にするべきだ。

これら既存の日本企業の弱点を逆手にとって既存大企業を攻撃するのが若い企業の賢い戦略だろう。大企業は顧客(これも大企業)との wet な関係で牙城を防衛しているがそれも時間の問題だと思う。なぜなら日本では総需要が減る一方なので大企業の顧客も海外での戦いを強いられるが前述のように競争力はない。もうちょい正確に言うと競争力はあるのだが相対的な競争力が弱まっているということだ。

その証拠にアメリカの企業は若い企業がどんどん経済の主導権を握っていき日々進化している。相対的な劣勢は長期では当然大きな差を生む。

投資による大企業の成長はさらに難しい
競争力のない日本の企業が金で海外の優良企業を買うことができるが日本の企業に投資力はさらにない。

日本の企業の海外投資は単なる株式投資ではなく「投資 + 経営」という「事業投資家」としてのスキルが必要だが事業投資はたんなる投資よりもさらにかじ取りが難しい。

子会社経営者という「人」を扱う部分が大きくなるからだ。自分自身の強み・弱みと子会社経営陣の強み・弱みをうまくコントロールすることが事業投資家としての最重要スキルになるがこれはビジネススキルというよりよりヒューマンスキルである

これらは特別な経験と知恵が必要となるが日本企業の事業投資は単に「サラリーマンで順番回ってきたから投資担当やってます」ではまず無理だと思う。特に自分自身の「弱み」をはっきり自覚することが投資の成功ではカギとなるがこれは簡単ではない。

このままでは海外投資を進める日本の大企業も一緒に沈んでしまうのは時間の問題だろう。ただ投資では一気に奈落に転落するのではなく高く払い過ぎた投資の損が減損という形で実現していくため投資してもすぐに失敗が確定するのではなくその評価には数年かかる。結果的に高値での投資により日本企業の内部留保利益はじわじわと減り価値が下がっていくことになるのではと思う。


下の「米国株」のところで応援クリックいただけると大変励みになります!
  ↓


米国株ランキング

(05:36)