株価
2024年03月23日
投資の成績つまりリターンを上げるために投資をやっているわけだが投資のパフォーマンスはどのような要素で決まるのだろうか?
株式投資のパフォーマンスは以下の3つで決まる。
1. 株を買うために支払った株価
2. その企業から生み出されるキャッシュフロー
3. そのキャッシュフローのタイミング
これだけ。
株価は入っていない。
つまり投資後、株価は投資の成績には関係ない。
長期投資の場合いったん投資したら売って投資資金を回収するのではなく企業が生み出すキャッシュフローで投資を回収する。
株を売らないという前提で考えると株価は関係ないのだ。
買った後 は1.はもう変えられないので2.3をモニターすることになる。
それなのになぜ投資家は株を買った後株価を毎日追いかけているのだろう?
理由はどこかで利食おうと考えているからだ。
第二の選択肢だろうか?できれば第二の選択肢は経営に関わっていくというものがあるべきと思う。個人投資家のレベルでは難しいものの気持ち的にはそうありたい。
投資後は企業の業績を追いかける
投資のパフォーマンスを決める3つの要素について考えてみると、
1. 買う株価は低いほうがリターンは高い
2. キャッシュフロー が多いほどリターンは高い
3. キャッシュフローが発生するタイミングが早いほど リターンは高い
投資家の分析は2と3から始まる。
将来のキャッシュフローを決める要因は何だろうか?
優れた経営者が経営し、競争優位性があり、経済性が高く、リスクが低い企業を探すーファンダメンタルズ分析の過程だ。
そのような企業を発見できたとしても1.の条件がある。
つまりいくら優れた企業を見出してもバリュエーション的に安く買わないとパフォーマンスは上がらない。
2.3.については投資した後も分析は続く。
本当に業績が予想したとおりになっているか?そうなっていないなら今後はどうなるのか?
ここでも株価は出てこない。
株価をいくら分析しても企業の生み出すキャッシュフローについては何もわからないだろう。
リターンを決めるのは.と2.と3.しかない。
実際のキャッシュフロー(またはそれに近い利益)が買う前に想定していたものと比較してどうだったか?投資家はこれを追いかけていく。
- 多少株価が高いと思って買ったが想定以上の利益が出ていれば成功だろう。
- まずまずの株価で買ったと思っても想定していなかったリスクが出てきて業績が悪化した。こんな時は失敗かもしれない。
投資には必ずリスクがあるため買う前に自分が建てた想定を確認していく作業が続く。その過程でその企業のことをより深く理解できるようになるだろう。
こうしたことが投資家として成長するために重要なプロセスだと思う。
ハクゴ録「一度株を買ったら自分の当初立てた想定を検証していくことで企業への理解と自分自身の理解を深める。株価を追いかけても得られるものは少ない。」
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2024年03月05日
長期投資家は株価とどう付き合うべきか?
株式投資をやっていると株価とどうしても付き合うことになる。
長期投資家にとって株価はなるべく気にしないほうが良いのだが日々動く株価を頭から払しょくすることは実際は容易ではない。
長期の投資家は株を売らない。売らないので株価を見る必要がない。株価とは「売値」だからだ。
株価を見るだけなら良いが影響されてしまってはいけない。株価を見ると心が乱れて間違った判断をしがちだ。
長期投資家にとって株価はなるべく気にしないほうが良いのだが日々動く株価を頭から払しょくすることは実際は容易ではない。
長期の投資家は株を売らない。売らないので株価を見る必要がない。株価とは「売値」だからだ。
株価を見るだけなら良いが影響されてしまってはいけない。株価を見ると心が乱れて間違った判断をしがちだ。
上がる株価を見て買いをと決めるのは動機が間違っている。結果的に儲かることもあるかもしれないが動機は間違っている。
株を買う理由とは?
株を買う理由は、リスクを勘案したうえで十分高いリターンが期待できるから買うというのが合理的な判断だ。
したがって下がったから買うのでもないし、上がっているから買うのでもない。あくまで「リスクを勘案したうえで十分高いリターンが期待できる」から買うのである。
「十分高いリターン」といった時の「リターン」とは何か?利益のことだ。CFでもよい。何か投資家に帰属する実態のあるリターンのことだ。配当だって一理ある。
株を売って回収するのではなくてこの「リターン」のために投資をする時、投資家は真の投資家となると思う。売らずに回収するには長い年月がかかる。投資収益率が10%だとしたら一年間に10%回収できるので単純計算で投資回収に10年かかる。投資収益率10%と言ったら結構すごい。なのでふつうは10年以上かかる。だから投資家は本来長期なのだ。
「長期目線の投資家」なのではなくて「投資家だから長期目線」だといえる。
リターンをコツコツと集めて回収するのが投資家だ。
これに対し株を買ってすぐ売って利鞘を狙う時、この人は投資先の事業ではなく市場の買い手の行動を見ている。これは本来の投資ではないと思う。
上がる株価を見て買う人は将来企業が生み出すリターンを集めて投資を回収しようとしているのか?それとも他人に自分の株を売って投資を回収しようとしているのか?
おそらく後者だろう。
何を見て投資する人なのか?
上がる株価を見て株を買いを決める人はその時は儲かるかもしれない。しかしそのアクションそのものがその人を「上がる株価を見て買う人」にしてしまっている。これは長期的には損になると思う。なぜならこの人は株価を買う根拠としており、業績の伸びを買う根拠にしていない。業績を見ない投資家はおそらく業績の伸びの理由を自分の頭で考えない投資家だろう。
業績の伸びの理由を自分の頭で考えない投資家は投資判断力が高まるだろうか?
上がる株価を見て買いを決めた人はおそらく買った後も最大の関心事は株価だろう。株価が上がることを望んでいるだろう。
このような人はいずれは「業績なんかより株価が上がればそれでいい」という方向に心が動いていくだろう。上がる株価に影響されて買う人は本来投資家がすべきこと、つまり業績が伸びる理由を考えることに注意が向かなくなるのではないかと思う。
一方で真の投資家にとって買った後は株価はもう関係ない。売らないから。株価とは「売値」なのだから。真の投資家はリターンを見る。利益で投資を回収するからだ。このように真の投資家と投機家は株価について全く違うとらえ方をしている。
株価の動きが買い・売りのアクションの理由になるのは株価の動きを逆手に取る場合だ。つまり下がった時に買い、上がった時は売る。
株価に動かされるのではなく、株価を待ち構える。
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2023年08月24日
永遠の名著「賢明なる投資家」
ハクゴはこの名著を読んで株式投資の世界に入った。そしてこの本を機に日々の読書習慣を始めたのだがそれは「この本を超える本が果たしてあるのか?」という疑問を解決するためだった。いまだにこの本を超える投資の良書には出会っていない。
今日またこの「賢明なる投資家」を読みなおしてみた。
株式投資きほんのきをもう一度
第5章リスクの概念に書かれているこのエッセンスを紹介したい。株価の変動は真のリスクではないということを言っている。
不動産投資の例を考えると不動産市況が不利な状況の時にもし資産の売却を強いられる状況となれば損失となるかもしれない。しかし「今もし資産売却を強いられたら損が $XX出るだろう」という想定は真の意味での投資のリスクではない。
株式投資きほんのきをもう一度
第5章リスクの概念に書かれているこのエッセンスを紹介したい。株価の変動は真のリスクではないということを言っている。
不動産投資の例を考えると不動産市況が不利な状況の時にもし資産の売却を強いられる状況となれば損失となるかもしれない。しかし「今もし資産売却を強いられたら損が $XX出るだろう」という想定は真の意味での投資のリスクではない。
なぜなら売却しなければいけない状況にはないからだ。不動産投資のリスクが高いのか低いのか?という質問の唯一の判断基準は家賃が期限通りにちゃんと入ってくるかどうかという点だ。家賃が入り続けている限り不動産市況がどうあれリスクが高いとは判断できない。
株式投資でも同じで売却を強いられないのであれば株価の変動は本質的なリスクではない。営業利益(厳密には当期利益だが営業活動が順調かどうかという意味で営業利益を使う)が期待した通り上がっているかどうかがその投資のリスクが高いか低いかの判断基準となる。
そもそも株を買うときどういう判断で株を買うのだろうか?
今の株価で買えば満足の行く投資収益率が出ると判断できるから買うのであって株価が上がると予想するから買うのではない。株を買う理由は利益の分け前をもらうため。
売却する必要がないという条件であれば株価は上がる必要はないし下がっても関係ない。なぜなら売るために買ったのではなく満足の行く投資収益率が出ると判断できるから買ったのだ。ならば満足のいく投資収益率が出ているかどうか?この点だけがリスクの判断基準となる。不動産投資の例と同じだ。
事実株価がないと言われても売却する必要のない投資家は全く困らない。
売る必要がないので株価必要ないのと、営業利益を稼いでいることが確認できればそれが十分だ。そもそもそれが投資した理由なのだから。
この点でかなりの長期間株を売却する必要がない資金で株式投資を行うことが一つの重要な前提となる。
また、株価というのは他人の意見であり、知らない他人の意見が自分に有利な株価をいつか示してくれる保証など全くないしそれをを当てにして買うというのが投資する理由ではないのだ。
未公開企業のオーナーは株価などないが営業利益が増えていればそれで自分の保有する資産の価値が上がっていることを確認できる。公開企業のオーナーも同じだ。
ハクゴ録「株価でなく営業利益のトレンドを見る」
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(05:38)
2022年09月05日
株価を当てるゲームはやらない
不安定な相場が続く中株価が下がるのを待って買おうかどうか迷うこともある。
しかし株価が下がるのを待つというのは株価を当てるゲームをやっていることになる。
しかし株価が下がるのを待つというのは株価を当てるゲームをやっていることになる。
なのでハクゴの答えは No だ。
株価を読んで株の売買をしてはならないと思う。株価を当てるゲームはやらない方が賢い。勝つこともあるが何度もやっていると結局負ける。長期では結局悪いパフォーマンスになるだろう。
ではどうやって買いを判断するのか?
それはグレートビジネスのリスクを勘案したうえで十分高い投資リターンが期待できるなら買いだ。
まずはグレートビジネスであること。グレートビジネスかどうかの判定自体が外れる場合もある。しかしグレートビジネスと確信していないのに買うというのはダメだ。十分調査をしグレートビジネスと自分が結論した企業の株を買うこと。
そしてそれ以外には手を出さないこと。
次にその企業のリスクを勘案したうえで十分高い投資リターンが期待できるなら買いと判断する。
これは企業バリュエーションと同じ作業となる。
DCFなり Multipleなりで定量分析をする必要がある。その結果その株に今の株価で長期(10年以上)投資した場合に配当も含めどのくらいの投資リターンが期待できるか?を推定する。その期待リターンがその企業のリスクを勘案した上で高いなら買いと判断できる。低いならば買うべきではない。
この推定作業は非常に細かい数量分析になりがちだ。しかし重要なこと分析の細かさでは決してない。重要なのはザックリなベースで期待リターンが高いのか低いのかを知ることだ。細かくやろうと思えばExcelでモデルを作っていくらで細かくできるがそれは意味がない。
バフェットの言葉を借りれば「その人が太っているか痩せているかを判定するのに体重計に乗らなくてもだいたいわかる」ということだ。
暗算ではできないかもしれないが手計算程度でできるものだ。
あとは期待リターンがその企業のリスクを勘案したうえで十分高いほど株価が低いなら買いと判断する。これが合理的な判断だ。投資家は常に合理的な判断をするよう強く意識すべきだとハクゴは考えている。特に現在のような不安定な相場では多くの投資家は合理的な判断ができなくなる。差がつくのはこのような環境だ。
未来についてわかっていることもある
今後相場がさらに下がるのかどうか?これはわからない。
しかしわかっていることは、今後相場がさらに下がる局面が来れば多くの投資家は確実に合理性を失っていくということだ。
「買った後株価がさらに下がったらどうしよう」と感じることもあるだろう。しかしさらに下がる株価はその株を売っている「他人の判断」であって自分には関係ない。
例えば定量分析の結果長期の投資リターンが10%期待できリスクが低いので買いと判断したとしよう。そこからさらに株価が下がれば期待投資リターンは11%に上がるかもしれない。しかし自分はその企業のリスクを勘案した上で10%取れれば十分と判断したから買ったのであってその後誰か知らない他人の判断によって11%に上がってもそれは自分の意思決定には関係ないことだ。
その後自分が分析した通り長期で10%の投資リターンが取れるかどうかを確認することが最も重要なことだ。タイミングが当たって安く買えるかどうかは全く意味がない。
我々長期投資家は株価のタイミングを当てるゲームをやっているのではなく投資先企業の長期の経済性を当てられるかどうかのゲームをやっている。
株価とは投資パフォーマンスを決める重要な変数ではあるが長期の経済性の推定が大方合っているという条件のもとに重要な変数と言える。そして長期の経済性の推定はこの条件付き変数の重要性よりもはるかに重要なのだ。
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(03:14)
2022年08月06日
世界最高の投資家から投資を学ぼう企画。1977年からのバフェットから「株主への手紙」を読破する。
バフェットを「読む」は毎年バークシャー・ハサウェイ社の年次報告書で発表されるバフェットの「株主への手紙」原文を読みその年の内容の中で最重要と思われる2,3点を抜き出して解説する。
バフェットは投資とビジネスの様々な局面でどう考え、どう動くのか?これを読み解いていけば巨人の肩に乗り投資家として今よりもずっと遠くが見えるようになるだろう。そしていつか自分の足で立ちバフェットの視座から世界が見えるようになることを目指す。
バフェットは投資とビジネスの様々な局面でどう考え、どう動くのか?これを読み解いていけば巨人の肩に乗り投資家として今よりもずっと遠くが見えるようになるだろう。そしていつか自分の足で立ちバフェットの視座から世界が見えるようになることを目指す。
抜粋部分には書かれていないバックグラウンドなども紹介してより立体的にバフェットの考え方を理解できるように解説したい。
賢人の教えを学びより多くの人とここで理解をシェアしたいと思う。多くの人が投資家としてより良い判断ができるようになればビジネスは賢くなり、より豊かな社会につながるだろう。
目指すは賢明なる投資家!
2010年バークシャーの保有株は以下の通り。
それでは2010年の内容に入っていきたい。
"At Berkshire, managers can focus on running their businesses: They are not subjected to meetings at headquarters nor financing worries nor Wall Street harassment. They simply get a letter from me every two years and call me when they wish... There are managers to whom I have not talked in the last year, while there is one with whom I talk almost daily. Our trust is in people rather than process. A “hire well, manage little” code suits both them and me."
「バークシャーでは経営陣は自分の企業の運営に集中できる。本社でのミーティングなどないし資金調達にもウォール街からのウザい質問にも悩まされることはない。彼らは私から2年に一度手紙を受け取る。必要があればいつでも私に電話してきて良い。ただそれだけだ。昨年一度も話さなかった子会社経営者もいるしほとんど毎日話す子会社経営者も一人いる。我々はプロセスではなく人を信用している。「良い人を雇い自由にやらせる」というやり方は自分にも彼ら経営者にも一番合っている」
【解説】
バークシャーの子会社経営陣は公開企業の経営陣のように3か月ごとに決算発表に追い立てられることがない。もともと有能な経営者がいる企業を買収しているためバフェットがあれこれいうことはほとんどない。これが “hire well, manage little” ということの意味だ。
野球に例えると3割打てるバッターがいたらオーナーやジェネラルマネージャーはあれこれ打法に注文つけたり、ミーティングに呼びつけて質問したりしないだろう。自由にやらせるべきだ。バークシャーでは全ての子会社が3割打てるバッターだ。バフェットの指示を必要としない。
公開企業の場合三ヶ月に一度業績発表がありアナリストから質問を受ける。これはアナリストが一般株主を代表している形になっているが短期の業績見通しに関心が集中していたり経営陣は正直ウザいと思っている。三ヶ月に一度というのは非常に頻度が高い。今回の決算終わったらもう次がすぐにくる。経営陣はこの決算対応に非常に時間を取られている。バークシャーの子会社の場合ウォール街と話す必要はなくこの時間的なメリットはかなり大きい。CEOの時間のかなりの部分をこれでセーブできているとバフェットは言っている。自分のビジネスに100%集中できるわけだ。これもバークシャーの競争優位の一つと言えるだろう。
ちなみにこの毎日話す経営者とはおそらく保険事業のトップのAjit Jain のことだと思う。Ajit Jainが個人的にプライシングまでやっている保険のディールは再保険で金額が大きく数がそんなにない。バフェットはAjit Jainのディールを全部見ている。バフェットは保険や株式相場など確率ゲームが大好きで投資家ではあるが保険事業に関してはかなり経営に突っ込んでおり経営者に近くなっている。ハクゴは株主総会会場でAjit Jainと話したことがあるが普通過ぎる人の良いおっさんでとてもコンピューターのような頭脳を駆使している人に見えない。他のバークシャーの経営陣や取締役と話したときも印象は理性的な面や知性的な面よりもいかにも親切そうな人、人のよさそうな人という印象が非常に強い。皆常識的で謙虚で穏やかな感じの人たちだった。ビジネスマンや学者みたいな感じではなく近所のやさしいおじさんおばさんみたいな感じだ。バフェットがそういう人だからきっとそういう人が集まってくるのだろうなと思った。
バフェットとGEICO
【解説】
この「株主への手紙」でSee's Candyと共に一番出て来る企業は自動車保険のGEICOだろう。アメリカではかなりメジャーな自動車保険でハクゴも昔GEICOを使っていた。安くて便利で使いやすかった。GEICOはバフェットにとっては特別な企業だ。
今回はバフェットとGEICOのかかわりについてまとめてあるので紹介したいと思う。
バフェットが初めてGEICOを知ったのはバフェットがコロンビア大学ビジネススクールの学生の時。20歳の時だ。コロンビア大学の教授 ベンジャミン・グレアムの元でバフェットは学んだ。グレアムは「賢明なる投資家」の著者でバフェットが自分のヒーローのように尊敬していた人物だった。ある時グレアムが GEICOの会長を務めていることを知ったバフェットは週末にワシントンDCのGEICO本社を訪ねようと決めた。GEICO本社につくと土曜日で閉まっていたのだがバフェットはドアをたたきまくっていたら清掃員がドアを開けてくれた。誰かいないと聞いたところ一人だけだれか上の階に来ていると。その人物はLorimer Davidson ("Davy") という人物だった。事情を話すとDavyは保険事業とは何かそして GEICOがどうやって競争力を作っているのかについてバフェットになんと4時間もかけて教えてくれたという。
保険業そしてGEICOの競争優位性を理解したバフェットは卒業後GEICOの株に自分でも投資した。Davyはその8年後1958年にGEICOの社長になっていた。それから20年以上たってDavyはもう引退してGEICOにいなかったが70年代にGEICOは事業でトラブって株価がなんと95%も下がったことがあった。バフェットはそこでGEICOの株の1/3を買った。取得価格は$46milだった。それからさらに20年後の1996年にバークシャーは残りの50%を$2.3bil で買いGEICOを完全子会社にした。残りの半分の取得コストはなんと初めの半分の50倍だ。。。この時の社長がTony Nicelyという人だった。このTony Nicelyは名経営者でGEICOのブランドを高め現在の業界地位に押し上げた立役者だ。
自分のヒーローがかかわっていることがきっかけで知った GEICO社。20歳の若きバフェットはニューヨークから電車でワシントンDCに行き初めてGEICOを訪ねてLorimer Davidson (Davy)に出会う。その時から46年後にGEICOを完全子会社にしたわけだ。バフェットは外から内からすべてを知り尽くしている。今ではなんと72年間もGEICOと付き合いがあることになる。
全てはあの清掃員があの時まさに「運命の扉」を開けてくれたことから始まった。バークシャーの根幹である保険事業はここから始まった。あの清掃員のことが時折頭に浮かぶとバフェットは言う。
"History throws dice"という言葉を思い出す。
バフェットが最も深く事業内容を理解している企業はどれかと問われればおそらく今はなくなった繊維事業のバークシャー・ハサウェイ社とGEICO だと思う。バフェットはGEICOという会社を「初恋」とも言っている。そんな特別な思いを持っている企業だ。
2013年のTVインタビューでバフェットはもしバークシャーの子会社で一社以外すべて売らないといけないとしたらどの会社を残すか?という質問に対してやはり GEICO と答えている。20歳の時GEICOの扉が開かなければ自分の人生は大きく変わっていたとも言っていた。
ハクゴはふと思った。もしこのGEICOが今まだ公開企業だったとして株価がインフレや Fedのニュースとかに反応して昨年末から株価大きく下がっていますけど?とか聞かれたらバフェットはどう答えるだろうか。「そのような意見は雑音以外のなにものでもない」と考えるに違いない。
優れたビジネスを深く理解している者にとって株価は雑音に過ぎない。
ならば優れたビジネスを深く理解していない者にとっても株価は雑音のはずだ。株価の重要性は理解の深さと無関係だから。
従って優れたビジネスかどうかさえわかれば株価は無視できると言える。
ハクゴ録「優れたビジネスにとって株価は雑音」
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2022年07月14日
株価の下落は自社株買いのチャンス
グレートビジネスというのはキャピタルアロケーションが上手いビジネスでもある。つまり稼いだ利益をどう使うか?という問題に合理的な判断ができる企業だ。この合理的な判断の一つの有力な選択肢として自社株買いがある。
公開企業である以上自社株買いは常に選択肢として存在する。株価が大きく下がる時自社株買いが合理的な選択肢になるチャンスが現れる。
株主としてはグレートビジネスが下がった時自分で追加購入してもよいがキャッシュがないという場合も多いだろう。そんな時でも投資先企業が自社株買いをやってくれる。
グレートビジネスはたいていキャッシュ潤沢でキャッシュの使い道に困っている企業が多い。今のご時世自社株買いできるので大いにやっているはずだ。
自社株買いでグレートビジネスの株主は株価下落の便益を享受できる。具体的には持ち株のシェアが上がることで一株利益が上がり各株主は得することになる。
つまり自分で株を買わなくても下がったら買いを投資先企業が勝手にやってくれるわけだ。まさに寝てても儲かる。
ハクゴ録「ベア相場は自社株買いのチャンスでもある」
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